筋肉への優しい刺激で脳を活性化。ホメオストレッチの実力。


「快眠外来」の主治医のように、何度もご登場いただいている篠浦伸禎先生。脳はどんどん使えば使うほど、より健康的で、より充実した生き方ができる!という先生が、「不眠症改善におすすめのストレッチがある」と。その名は“ホメオストレッチ”。いったいどんなストレッチなの~?

先生
篠浦伸禎/しのうら・のぶさだ
1958年生まれ。医学博士。東京大学医学部卒。富士脳障害研究所、東大医学部付属病院、国立国際医療センター、シンシナティ大学分子生物学部留学を経て、2000年より都立駒込病院脳神経外科医長、2009年より同部長を務める。脳の覚醒下手術でトップクラスの実績を誇る。『どんどん脳を使う』『相性は脳で決まる』『人に向かわず天に向かえ』『逆境をプラスに変える 吉田松陰の究極脳』など、著書多数。


「最近、不眠症や不安症、うつなどは脳の自我の領域に問題がある、とわかってきました。ならば、この自我の領域の血流を増やして神経細胞を活発化させれば、こうした問題を解決できるのではないか、と考えられるのです」と、篠浦先生。

……あのォ、自我ってなんですか? 自我の領域って、脳のどの部分なのでしょう?

「自我は脳の指令塔です。さまざまな脳機能を発揮するために働いている、いわば車のエンジンのようなもの。強力でないと急な坂道は上がっていけないように、自我が弱いと人生のストレスに立ち向かっていけません。強いストレスで自我が壊れ、正常な本来の脳の使い方ができなくなることが、不眠をはじめとするさまざまな病気の原因だろうと私は推測しています」

最近の脳科学でも自我は、脳の中心部にあることがわかってきたのだそうです。脳の帯状回という場所。この前の部分は神経細胞が大きく、後ろは多くの神経繊維が集まっていて、ここが脳全体をコントロールしているというのです。

「ここに脳梗塞があると、手足の麻痺がないのに、姿勢を保って座れなくなることがあるのです。このことから重力に逆らって姿勢を保つ体幹筋(抗重力筋)と自我は、ほぼ同じ領域にあるのではないか、と考えられるのです」

この体幹筋に刺激を与えることで自我を活性化し、脳の働きを正常にしようというのが、篠浦先生お勧めのホメオストレッチです。
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