桜島噴火に表れた危険な兆候

では、今後、何が起きるのだろうか。
実は、5月30日の夜に発生した小笠原諸島西方沖地震の発生を、本誌2月9日号で、前出の木村名誉教授は、「2012±5年でM8.5の地震が起こる」と予測していた。
「私の予測したとおりの流れの中で起きた地震なのか否かは、まだ十分な精査ができていないため、断言はできません。ただ、おおむね予想どおりと言えます」(木村名誉教授)
さらに、今後の"危険地帯"を、こう予測する。
「3・11で東北沖のプレートのストレスがなくなった分、その南と北に大きなストレスがかかっています。具体的に言うと、北海道の釧路沖、そして伊豆・小笠原諸島、九州の東方に位置する日向灘沖に大きなストレスがかかっています。口永良部島の噴火は、日向灘沖へかかるストレスが原因と見ています」(同)

その予測どおりに進行するなら、口永良部島の噴火で現実味を帯びてきたのが、日向灘沖地震だ。木村名誉教授は、19年までにM8.7の地震が発生することを予測している。
九州地方で注意が必要なのは、地震だけではない。
前出の大宮氏は、日向灘から九州にかけては、阿蘇山、桜島、口永良部島に続き、火山噴火が連動する恐れもあると指摘する。
「わが国には、約110の活火山があり、そのうち政府は、47の火山を常時観測しています。口永良部島付近では、その常時観測火山の一つ、薩摩硫黄島(通称・鬼界ヶ島)に警戒が必要でしょう」

薩摩硫黄島の近海に、鬼界カルデラと呼ばれる大きな海底火山があるのだが、この火山の破局噴火(地下のマグマが一気に地上に噴出する壊滅的な噴火のこと)によって、かつて南九州に栄えていた縄文文化が滅んだとされるほど、大きな危険をはらんだ火山だ。
もし、薩摩硫黄島の噴火に連動し、鬼界カルデラが大噴火を起こせば、その被害が甚大なものになるのは想像に難くない。

以上は最悪のシナリオだとしても、口永良部島の噴火が、危険な兆候だと見る専門家は多い。前出の高橋教授も、その一人だ。
「阿蘇山や桜島は、今年の3月までは間欠型噴火と呼ばれる単発的な噴火でしたが、4月に入ってから断続的に噴火が続く連続的噴火に移行。そこに口永良部島が噴火となれば、西日本全体でプレート型地震が発生する可能性が非常に高くなってきています」

なぜ、噴火が活発になると、プレート型の地震の危険が高まるのか。それを説明するために、まず高橋教授に、地震と噴火に関するメカニズムをうかがおう。

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