中国首相と会談した安倍密使

次に、談話が発表されるタイミングだが、村山、小泉談話が終戦記念日の8月15日に発表されていることから、この日が本命視されてきたが、「15日は絶対にありません」(前出の官邸詰め記者)という。
「終戦記念日には天皇陛下のお言葉があるため、遠慮することになったんです。発表のタイミングは、お盆前の12日近辺が最有力視されています」(同記者)

その輪郭が明らかになりつつある安倍談話。ただ、前述したように政権は安保法案をめぐり針のむしろ。談話に"謝罪3点セット"も盛り込まれないとなると、中韓両国の猛反発を招くことは必至だろう。
「実は、その点は心配なしです。安倍官邸はぬかりなく、すでに中国に"密使"を派遣していますからね」(全国紙外信部記者)

密使とは谷内(やち)正太郎国家安全保障局長、その人だ。
「谷内局長は16日に訪中し、"序列第2位の大物"李克強首相らと会談しています。ここで安倍談話の内容を示し、中国側の反発を最小限に抑える言質を取ったはずです。会談後、李首相は"今回の訪問は、両国関係を正常な軌道に戻すことにとって積極的な意味がある"と発言。これは交渉が成功した証拠です」(同記者)

中国側は談話を飲む見返りとして、9月3日の「抗日戦勝利70周年式典」に首相を列席させるように要求したという。
「"敗戦国"の首相が出席すれば、習近平国家主席の威厳を国内外に示すことができる。また、中国は上海株の下落騒動で見られたように経済が不調ですから、さらなる日本の対中投資も要請したはずです」(同)
もうひとつの"反日大国"韓国については、「"親分"中国にならうため、放っておいてもよしと判断した」(同)という。

"最大の障壁"になると思われた中韓と事前に"手打ち"が成立した今、談話発表に憂いなし……と思いきや、安倍首相には意外な"強敵"がいるという。
これまで安倍首相の"後見人"として憲法改正路線を支持してきた読売新聞グループ本社会長(兼主筆)の渡邉恒雄氏だ。御年89歳になる"ナベツネ氏"が、安倍談話に「ノー」を突きつけているというのだ。

"安倍VSナベツネ"バトルの火蓋が切られたのは4月22日。首相の70年談話に、渡邉氏は同日付の読売新聞社説で、
〈"侵略"に言及しないことは、その事実を消したがっているとの誤解を招かないか(中略)70年談話はもはや、首相ひとりのものではない。日本全体の立場を代表するものとして、国内外で受け止められている〉
と、「侵略、植民地支配、反省」の文言を省こうとする安倍談話に、真っ向から異議を唱えたのだ。

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