酷暑の寝苦しさはこれで解消!「眠りの秘密」 20の画像
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人生の4分の1を夢の中で過ごすのに、意外と知らないその仕組み。心地よい時間を送るために知っておきたい!

梅雨明けと同時に、うだるような酷暑に襲われている日本列島。夜間の最低気温が25度を下回ることのない熱帯夜が増え、深夜でも寝苦しい日が続く季節となった。
だが、睡眠は生きるためには絶対に必要な行為。
そのため、睡眠時間が短ければ、老化やガンの原因となったり、空腹時にそのまま寝ると危険な状態に陥る可能性があるのだ。それを防ぐためにも、睡眠のメカニズムについて正確な知識を持ち、正しい睡眠を取らなければいけない。

逆に、正しい睡眠を取ることができれば、朝からスッキリして、今日も一日頑張ろうと、気力が充実する。
知っているようで知らない睡眠に関して改めて学ぶべく、酷暑の寝苦しさを解消するための安眠テクを徹底取材! これさえ読めば快眠を得ること間違いなしの「睡眠の秘密」を、お届けしよう。

そもそも、人はなぜ、眠るのだろうか?
まずは、その点を眞田クリニックの眞田祥一院長(脳神経外科学会認定医)に解説してもらった。
「たいていの高等動物は餌が捕れない間、夜行性なら昼、それ以外は夜に、一日のエネルギー不足を補うために眠る仕組みになっています。それは人間も同じ。狩猟や農耕ができない夜に、体と脳を休ませる必要があり、本来、夜になると"体内時計"が働いて眠るようにできているんです」

その体内時計を司るのが、左右の大脳の間にある松果体。周囲が暗くなると、そこからメラトニンという睡眠ホルモンの分泌が増え、眠気を催すのだ。
脳神経外科クリニックの工藤千秋(くどうちあき)院長が、次のように付け足す。
「したがって、夜遅くまで明かりをつけてゲームやパソコンをやっていると、体内時計は寝る時間を指しているのに、メラトニンが分泌されず、眠ることができません。こうして昼夜逆転の生活が不眠を引き起こす原因となります」

睡眠には大きく分けて「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類がある。
眼球が動くことから、そう呼ばれる(レムとは急速眼球運動の略)。
レム睡眠というのは、体は眠っているものの、脳が活動している状態。レム睡眠のときに夢を見るのは、そのためだ。

一方、急速眼球運動が伴わず、脳が眠っている状態を「ノンレム睡眠」という。
たとえば、電車の中で車掌に揺り起こされるまで起きないようなケースが、深いノンレム睡眠状態にあたる。深い眠りから起こされると、なかなか目覚められず、頭がボーッとするが、このノンレム睡眠こそが健康な体作りの基本だ。
「睡眠には前半と後半の二つのパートがあり、まず前半はノンレム睡眠が長く、このとき成長ホルモンが大量に分泌されます。成長ホルモンは細胞をリニューアルしてくれます。したがって、前半の3時間、理想をいうと、午後11時から午前2時までの時間帯に深い眠りを取ることが重要です」

こう説明するのは、『「睡眠第一!」ですべてうまくいく』(双葉社)の著者で、文教大学教育学部教授の成田奈緒子氏(医学博士)だ。
逆にいえば、前半に3時間の深い眠りを怠ってしまうと、細胞がリニューアルされず、免疫力が落ちて老化を早め、寿命が短くなる懸念があるという。成田教授が続ける。
「それだけではありません。細胞を作り替える体の機構に狂いが生じ、ガンになりやすくなるんです」

では、後半の理想的な睡眠とは、どのようなものか。
「後半は、レム睡眠とノンレム睡眠を4回くらい繰り返して覚醒に至ります。そのレム睡眠時には脳の中で前日の記憶の整理が始まります。つまり、前日に行った仕事の内容を脳が整理整頓し、起きたらすぐ使えるように準備してくれているんです。そうすれば、仕事の効率がよくなります。逆にレム睡眠を後半で3回は取らないと、仕事の効率が低下し、性格もネガティブなものになりかねません」(成田教授)

レム睡眠を3回確保するには最低3時間。前半の3時間に、入眠時間(30分)、覚醒時間(30分)を合わせると、合計7時間の睡眠時間が必要なのだ。また、昔から「朝起きは三文の得」といわれるが、それは、科学的にも証明されている。

「メラトニンとは逆に、朝起きて光を浴びると、体内からはセロトニンというホルモンが分泌されます。このホルモンには不安を抑え、ヤル気を起こさせる役割があり、毎朝5~7時に起きると、十分なホルモンが分泌されます」(成田教授)

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