現役警察官が苦笑暴露する「トンデモ職務質問」報告書の画像
現役警察官が苦笑暴露する「トンデモ職務質問」報告書の画像

「すいません、ちょっと、お時間いいですか?」
街を歩いていれば、こう声を掛けられることは多い。
それが、何かの勧誘やキャンペーンなどであれば断ることもできるが、そうはいかないのが職務質問だ。

警察官が、「怪しい……」と思えば、"任意"で行えるが、断るのはほぼ不可能。たとえ、自分が犯罪に関与していなくても、恥ずかしいモノを持っていなくても、だ。そのため、予期せぬ受け答えや、まさかの事態が発生することもある。

そんなトンデモ職務質問の実態について、全国の現役警察官に聞き込み取材したところ、次々と出てきた。一部、特定できないようにボカした部分があるが、その爆笑実例を公開する!


捜査員も予期せぬ困惑編

「職質ってのは、いろんな人に当たるよ」
こう語るのは、警視庁の捜査員A氏だ。
「話がまったくかみ合わない人、変装している有名人、話の途中で急に"天よ、我に闘う力を"などと叫ぶ人など、さまざま(苦笑)」
だからこそ、職質の数だけ、"事件"は発生する。

A氏が人通りの多い駅前をパトロールしていると、通行人に手当たり次第に話しかけている営業マン風の男がいた。あまりにうさんくさかったので職質すると、
「こちらが聞くことに、しっかりと答えてはくれるんですが、職務質問が終わった途端、"お巡りさんも疲れていませんか? ぜひ、このサプリを買って、試してください"などと執拗に営業してくるんです。職務中だから、"あっちに行ってくれ"と言っても、聞いてくれない。さすがに公妨(公務執行妨害)で引っ張るわけにはいかないので、自転車で走って逃げましたよ(苦笑)」

さらに、女性用アンダーウェアや水着を持っている男性がいたとしても、すぐに泥棒などと疑うことはできない。
「アパレルメーカー社員や芸能事務所関係者、さらには撮影の真っ最中で、その衣装を運んでいただけなどと、意外とまともな理由が多いんです」
男性が所持する女性関係の物品では、仕事以外の意外な理由もある。

「深夜の住宅街をウロウロする若い男性がいたので、"ストーカーか?"と思い声をかけたんですが……」
そう振り返るのは、首都圏某所で任務に就く警察官B氏だ。重大事件に発展することもあるので、覚悟して声を掛けたという。
「外見はマジメそうな青年でしたが、話しかけた瞬間"な、何でもありません!"と言って逃げようとするんです。とっさに腕を捕まえると、若い女性の写真を持っていたので、これはいよいよと問い詰めたんです」

男は、「この女性は彼女です」と主張。とはいえ、犯罪者の多くは、妄想や思い込みが激しいので油断はできないが、彼は、携帯電話に次々とツーショット写真を表示したそうだ。元カノへの犯行もありうるので、さらに話を聞くと、女性との交際も、テレビ電話で確認できたのだという。
「そこで、改めて何をしていたのか聞いてみて、彼に申し訳ないことをしたと思いました(苦笑)」

男性は、この女性とつきあって1か月。実は初めての彼女で、翌週、泊まりにくるというのだが、その際、"紳士的"に自宅に連れて来れるのか、シミュレーションをしていたというのだ。
「"初めてなんですから、それぐらいいいじゃないですか!"と涙目で訴えられ、申し訳ないことをしたなと、反省しました」

心がホッコリ温まる一件だが、捜査員C氏の話を聞くと、やはり、不審者への職務質問をしないわけにはいかないようだ。それは、B氏と同じく、深夜の住宅街での出来事だった。
「30代の男性でしたが、話しかけると挙動不審だったので、カバンの中を見せてもらったんです。そうしたら、ビニール袋に白い液体が入れられ、その部分がピンポン玉のように丸められていたんです」(C氏)

C氏が、その液体の内容について聞くと、何と、自分のあれだというのだ。
「しょうがないので、臭いを嗅がせてもらうと、確かに、あれ特有のナマ臭さ……。それを持ち歩いて深夜の住宅街を徘徊するなんて怪しいことこのうえないんですが、とはいえ、それだけでは、こちらからは何もできない。いい方法ではないんですが、彼を尾行しました」

観念したのか、男は5分も歩くと、"袋"を公園のゴミ箱に捨てたそうだ。
「そこで尾行は止めましたけど、職質の段階では、それが精いっぱい。なかなか難しいもんです」

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