日焼けサロンのベッドは論外
たばこと並ぶ嗜好品であるアルコール飲料も、高い発がん性リスクがあるのは言うまでもないが、牧氏は、「データ上は、まったく飲まないよりは、ほどほどに飲んだほうが長寿なんです。その適量はエタノール換算で12グラム。ビールなら350ミリリットル缶1本です」と言う。同じ飲み物でいえば、飲料水に含まれるヒ素もがんの原因になる。牧氏が続ける。
「日本でも、田舎に行けば、今でも井戸水が使われていることは多い。そこの土壌にヒ素が多いこともありえます。ミネラルウォーターも自然水を汲んでいるので、それなりのヒ素が入っている可能性がないとは言えません」
やはり、水道水が一番安くて安心なのかもしれない。ちなみに、ヒ素に関してだが、岡田氏によれば、「なぜか、日本近海で取れたひじきにはヒ素が多く、イギリスは輸入禁止にしているんです。食べる場合、30分以上、水戻しを」とのことだ。がんの原因となるものは、口から体内に入るだけではない。たとえば、紫外線。日本人などの黄色人種は、色素が濃い=皮膚が強い分、皮膚がんになりにくいと思われているが、「海水浴などで、わざわざ焼くのは避けた方がいいでしょう。特に子どもの頃に過度に日焼けすると、年を取ってから皮膚がんになりやすいというデータもあります。紫外線を発する日焼けサロンのベッドは論外です」(岡田氏)
X線検査やCTスキャンなどで浴びるX線とガンマ線も注意が必要だ。米イリノイ工科大学で助教授として、がんの遺伝子研究をしていたこともある生田哲氏(薬学博士)は、こう警告する。
「そもそも、早期発見・早期治療がどれだけ効果があるか疑問ですから、これらの検診はお勧めできません。特に、CTスキャンで浴びる線量は多く、がんを早期発見するためのはずが、逆に、がんを誘発する状況を生んでしまいます」
今、まさに呼吸をしている目の前の大気にも原因がある。2003年以降、東京都がディーゼル車規制を行い、ディーゼルの排気は少なくなったが、岡田氏によれば、「米国の環境基準を我が国に当てはめると、基準ギリギリになってしまう場所は少なくありません。また、ディーゼル車に限らず、車の出す排気ガス、工場から排出される煙など屋外の大気汚染が問題で、空中に浮遊するすべての微粒子が肺がんなどのリスクを高めるんです」
したがって、交通量が多い工場地帯の近くなどにいるときは、窓は開け放たないほうがいい。同じ考え方から、微小な物質が出る可能性のある、ブーツと靴の製造や修理、煙突の掃除、家具の製作なども要注意とのことだ。
「日曜大工で出るウッドダスト、掃除で巻き起こるほこり、ヘアスプレーや防水スプレーなどの各種スプレーなども要注意。こういった場合はマスクをしたほうがいいでしょう」(岡田氏)
日曜大工といえば、染料や瞬間接着剤などに含まれるオイソルイジンも危険だ。焼却施設の近所に住んでいなくとも、ダイオキシンと無関係ではない。
「すべての煙にはダイオキシンなどの発がん性物質が含まれています。たき火、野焼き、お線香の煙なども吸い込まないように注意しましょう」(前同)

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