ちなみに16年1月1日以降に発生した収入には、マイナンバーが適用される。気兼ねなくバイトできるのも年内までのようだ。また、庶民にとって不安なのが、情報漏洩リスク。「行政機関や法律で許可された使用範囲以外で、マイナンバーを書き取ることやカードの裏面をコピーすることは違法。証明書として個人番号カードを使用する際は、表面のみを提示し、カードをむやみに相手に手渡さないようにしてください」(前出の弁護士)

 カードの紛失にも気をつけたいが、「個人情報カードが誰かに拾われたとしても、相手に分かるのはカードに記されているマイナンバー、氏名、住所、生年月日、性別、それに顔写真だけで、ICチップ内の情報を覗くには暗証番号が必要です。暗証番号は一定回数以上間違えるとロックされるし、不正に盗取しようとすると自動的に記録を消去する機能も付いており、簡単には盗めません」(光嶋氏) さらに、「個人番号カードのICチップには、税金や年金給付関連の特定個人情報、銀行口座や預金残高といったプライバシーの高い情報は記録されません」(前同)

 また、罰則も厳しい。「マイナンバーを扱う事務等に従事する者が、そのファイルを正当な理由なく他者に提供した場合、最高で懲役4年の刑が課せられます」(同) むしろ、情報漏洩より、もっと恐ろしい事態も……。「今、現実的に懸念されているのが、記載ミスと見せかけて意図的に他人のマイナンバーを書く、課税逃れの手口です。その場合、番号を記載された人間に、身に覚えのない多額の税金通知が来ることになります。その課税を間違いだと主張し、訂正するには大変な労力と時間が予想されます」(前出の記者)

 さらに、マイナンバーに関する事件への対策が何も定まっていないのも問題だ。「情報漏洩した場合、マイナンバーの変更は可能ですが、その際、誰が通知するのかを含め、手順の詳細はいまだに詰められていません」(前同)

 出たとこ勝負のマイナンバー制度。“こんな危険なもの、拒否したい”という場合、それは可能なのか。「勤務先へのマイナンバーの提出や通知を拒否することによる罰則は、少なくとも今のところ、ありません」(光嶋氏) 敵を知り己を知らば百戦危うからず。理解を深め、来る新制度に備えるべし!

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