植田氏も、こう言う。「私の場合、常勤の頃は最寄り駅から病院まで毎日、往復20~30分は早歩きしていたかな。今も月に1回はゴルフをやるし、気が向いたときは車は運転せず、最寄り駅まで10分ほどは早歩きすることもあります」 前出の泉重千代さんは、100歳を過ぎても日常的に体を動かしていた。「亡くなる4年くらい前まで散歩が日課で、120歳を過ぎても、着替え、布団畳み、トイレや入浴も自分一人で行っていたそうです」(前出の記者)

 疲れていると、つい怠けたくなるものだが、欠かさず運動する強い意志も、ご長寿さんの共通点のようだ。「昨年4月に亡くなるまで、世界最高齢だった大川ミサヲさん(享年117)は、102歳のとき、盆踊りで転倒して足の骨を折る大怪我をしましたが、退院後、入所している老人ホームに帰って来ると、廊下の手すりにつかまりながら毎日スクワットを行い、体を鍛えていたといいます」(前同)

 きんさん、ぎんさんも、重要視していたのは下半身。「きんさんは、“ハムストリングス強化運動”という臀(でん)部から太腿を鍛えるトレーニングを行い、健康に磨きがかかったといいます。また、ぎんさんも“人間は足から死ぬ”と考え、毎日30分の散歩を欠かさず、100歳を超えても実践していたそうです」(同) とはいえ、“健康のためなら死んでもいい!”というほどストイックに自分を追い込むのは考えもの。「一番の長生きの秘訣は、何事もマイペースで、ストレス知らずな点ではないでしょうか。私、けっこう図太いところもあり、どこでもすぐ寝られますし。勤務医時代は激務で、通勤の行き帰りの電車では必ず席を確保し、1分もしないうちに寝入り、月に1~2回は寝過ごして最寄り駅を通り過ぎていました(笑)」(植田氏) 

 逆に、激務がストレスになっていそうな気もするが、「適度なストレスは逆に健康にいい面もあり、ストレスが寿命を縮めるという明確なデータは存在しません」(岡田氏)というから、働き盛りでも安心してよさそうだ。

 続いて岡田氏が、男性が長生きのために重要だと明かすのがパートナー、すなわち“オンナ”の存在。「最悪なのは一人で部屋に閉じこもり、1日4時間以上テレビを見て過ごしている人。こうした習慣を続けると短命になるとの結果が、外国の多数の調査で明らかになっています」(前同) この間、脳はほとんど働いていないという。「テレビを見ているとき、何かを食べながらという人も多く、そのカロリーは体を動かさないから消費もされません」(同)

 さらに、血流も滞ってしまい、良いことは何もないという。「そういう悪循環を思えば、何歳になってもパートナーはいたほうがいい。それが無理なら、仲のいい相手を持つ。また社会的つながり、生きがいを持つことも非常に大切でしょう」(同) 植田氏は、今でもおしどり夫婦だと明かす。「現役時代からストレス解消も兼ね、年に一度は家内と海外旅行に。今までに南極以外、ほとんどの国に行っています」

 旅行は実に様々な刺激があり、脳にとっては最高のトレーニング。認知症予防すなわち、健康長寿につながるとの報告もある。「毎日の食事でも毎回、妻と会話しながら1時間以上かけて、ゆっくり、ちびちび食べています」 実は健康のためには「よく噛むことも重要」(岡田氏)で、この点からもパートナーの重要性がうかがえる。

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