しかし、夏のボーナス減額だけで済めば、まだマシかもしれない。「今後、収入はズルズル落ちてゆき、逆にアベノミクスの効果で物価が上昇して、実質的な生活感がますます悪くなっていく可能性があります」(前出の森永氏)

 さらに懸念されるのは将来の年金だ。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、年金資金の約35%を国債で運用しているが、「国債の利回りが低下しています。目標の運用利回りを達成するには株式の値上がりに期待するしかありませんが、GPIFが今年度の第2四半期で約8兆円の損失を出したのは周知の通り。今年に入っての株価暴落で、一説には16兆円を“溶かした”ともいわれています」(前出のファンドマネージャー)

 15日の衆院予算委員会で、安倍首相が「株価下落で年金運用が想定を下回る状況が長期にわたって続いた場合、将来的に給付額を減額する可能性がある」と述べた通り、年金のカットまでありえる状況が現実味を帯びてくる事態なのだ。「最悪の場合、年金基金の他、やはり運用難で生命保険が破綻する事態になりかねない」(市場関係者)

 前出の五十嵐元教授も危機感を露わにする。「安倍政権は発足当初から金融緩和を打ち出し、円安・株高の流れを作ってきました。しかし、その後の経済政策・成長戦略があいまいで、金融緩和という“一本足打法”になっているんです。世界経済の成長鈍化が懸念される中、アベノミクスは破綻の一歩手前という状況に陥っています」

 経済政策での期待が高かった安倍政権だけに、これ以上庶民を追い込む、この失策を続けるようなら、怒りに身を震わせた庶民によって、夏の参院選で手痛いしっぺ返しを食うことになるのは間違いない――。

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