ダイエット法以外にも、ヘタしたら死を招く間違いは他にもある。ここでは、そのいくつかを紹介しよう。

●ラジオ体操をするべからず!?
 高齢者の朝の健康習慣として人気があるラジオ体操だが、これも過信は禁物のようだ。「ラジオ体操そのものが悪いというわけではないのですが……」 こう前置きして説明するのは、この2月に『ラジオ体操は65歳以上には向かない』(太田出版)を上梓した戸田佳孝・戸田リウマチ科クリニック院長(兼大和大学整形外科非常勤講師)。「ラジオ体操をお続けの高齢者は“ラジオ体操をしているから運動は足りている”と思っている人が少なくないんですね。ところが、ラジオ体操だけでは高齢者に必要な足腰の運動が不足してしまうのです」

 高齢者はラジオ体操に加え、スクワットなどの足腰を強化する運動が必要なのである。さらにもう一つ注意したいのは、高齢者の場合、ラジオ体操で逆に腰や膝を痛める恐れがあることだ。「たとえば、55~64歳までは68%の人が、きちんとジャンプできるのですが、65歳を超えると36%と、とたんに少なくなります。こんな人が無理に≪両足で跳ぶ運動≫などをすると膝を痛めてしまうことも」(前同)

 また、≪体を前後に曲げる運動≫で、体を前屈させて腕を振ると、骨盤があまり曲がらないため、腰椎の曲がりが大きくなりすぎて腰を痛めることがある。「実際、私のクリニックでも、ラジオ体操を熱心にしていたが、人工膝関節になった患者さんがいらっしゃいます。ラジオ体操と足腰の筋トレを同時にすることが大切です」(戸田院長)

●ランニングは危険!
 健康のためにマラソンやジョギングをしている人もいるだろうが、内科・循環器科の専門医でもある石蔵文信・大阪樟蔭女子大学教授によると、「中高年にお勧めのスポーツとは言えない」と言う。「マラソンやハードなランニングは重篤な不整脈を起こす危険があり、これが心不全や脳梗塞の引き金になることも少なくありません。また、ハードな運動は腎臓にも大きな負担をかけることが分かっています」(石蔵教授) 米国心臓学会がまとめた「健康的なランニング」は、走るのは週3日以内で、走る時間は1、2時間以内。スピードは1キロ7~8分ぐらいの「おしゃべりしながら走ることができる速さ」だという。

 心臓や腎臓が悪い人が市民大会で上位入賞を狙うランニング練習をしていると、それこそ天国まで駆け抜けることになりかねない。

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