そもそも“株の取引き”とは、どういうことか? ここで簡単に整理しよう。「通常、株の売買を行うためには、銘柄ごとに決められた単元株数を満たしている必要があります。単元株とは、取引をする際に必要な最低購入単位数のこと。銘柄により1株、10株、1000株と単元株の値は変わりますが、多くの株式は1単元100株とされています。たとえば、単元株100株の、牛丼の吉野家の株価が1400円である場合、その株を購入するためには、最低でも14万円の資金を用意しなければならないということです」(前同)
だが、普通の人にとって14万円は大金。それだけの金額を、いきなり投資に使うのはハードルが高い。しかし、投資初心者でも、これよりはるかに少額で、手軽に始められる取引があるという。「それが、1単元100株に満たない株式でも売買できる『るいとう』と『単元未満株』です」(経済ジャーナリスト)
「るいとう」とは、月々1万円以上1000円単位のあらかじめ決めた金額で、ある株式銘柄を毎月一定日に一定額を購入していく「株式累積投資」のこと。カブドットコム証券の「プレミアム積立」のように、毎月500円以上1円単位で積み立て可能なサービスもある。いずれにしても、1単元に達した段階で、正式な株主になることができる。「仮に株価が変わらないとして、吉野家株であれば、毎月1万円ずつ累積投資すれば、14万円分に達する1年2か月後には、れっきとした株主になることができるんです」(前同)
一方、「単元未満株」、通称「端株(はかぶ)」は、あらかじめ決めた株式銘柄を、1~10株ずつ購入していく投資のこと。「先の吉野家株であれば、毎月10株(1万4000円)ずつ投資すれば、株価が変わらなければ、10か月後には、れっきとした株主になることができるということです。株価が値下がりしたとしても、額面が小さいため影響も少なく、心理的なダメージを受けにくい点も初心者向きでしょう」(同)
証券会社によって購入可能な単元株や呼称も異なっているが、自分に合った会社を選びたい。「つまり、『端株』が取引ごとに様々な銘柄を取り扱うのに対し、『るいとう』は特定の銘柄を買い増ししていくという点で、大きく異なっています。いずれにしても、一般的な株式投資に比べて、手数料が割高なことは覚えておいてください。また、証券会社が決めた時間の価格になるので、自分が買いたい価格になるとは限らない。売るときにも制約があるといったデメリットがあります」(前出の専門誌記者)
さらに、「るいとう」は大手証券会社の窓口販売が中心で、取引できる銘柄も限られている点にも注意が必要だ。ここまで読んでも、なんだか、「るいとう」も「端株」も安いだけで、あまりお得ではないような気がするが……。