「いえ、実は端株には、おいしいメリットがあるんです」(前同) それが、いわゆる「端株優待」だ。

 一般的な株式優待、たとえば、吉野家であれば、権利確定日である2月末、8月末に100株以上の株式を保有していれば、300円サービス券が10枚がもらえる。1000株以上なら20枚、2000株以上だと40枚にもなる。このように、株式優待のメリットは1単元から受けることができるのが一般的だが、中には単元未満株主も含めた全株主や10株単位から、そのメリットを受けることのできる株式もあるのだ。これが端株優待である。

 ファイナンシャルプランナーの藤原久敏氏も、「端株優待を楽しんでいる」と言う。藤原氏が挙げる代表的な銘柄は、全国900店舗を展開するレディス・ファッションの衣料小売業の会社であるハニーズだ。「10株以上での優待内容は、全国の自社店舗で利用可能な優待券1枚、500円分となっています。10株1万円前後で購入できますので、家族で分散して10株ずつ持つ“家族買い”をすれば、さらにメリットを享受できます」

 そのハニーズを含む、1万円で(正確には1万円前後で)買える「おすすめ株」を8つ選んだ。それが下記の表にある銘柄だ。

銘柄

 端株優待でいえば、他にも、「グローバルワーク」「ニコアンド」「ローリーズファーム」などのカジュアル衣料を手掛けるアダストリアや、建設会社である東建コーポレーションでも、10株からの端株優待が用意されているのでチェックしてみたい。「中には、非鉄金属メーカーの三菱マテリアルや、大手医療機器の製造・販売会社であるテルモのように、たった1株から権利が発生する端株優待もありますから、侮れませんよ」(前出の経済ジャーナリスト)

「端株」とは違い、単純に、1単元100株が、そもそも1万円以下、もしくは1万円前後の株式に投資する方法もある。いわゆる、「低位株」や「ニュース株」だ。「『低位株』とは株価が低く、必要資金が少ない株のこと。1株が300円以下の株式を指すことが多いですね。実際の会社の価値と比べて株価が安い『割安株』や、非常に業績が厳しい赤字銘柄の『ボロ株』などがあり注意が必要ですが、そんな赤字企業が浮上するときほどリターンも大きく、ある意味では“大化け”する可能性もあります」(前同)

 SBI証券の投資調査部でシニアマーケットアナリストとして活躍する藤本誠之氏は次のように解説する。「最低投資金額が1万円以下ということは、1株が二桁単位の超低位株になります。超低位株を購入する場合、通常の銘柄よりも企業破綻や上場廃止などのリスクが高いことになります。そのため、リスク面を考慮して、配当があることを一つの基準にしたほうがいいでしょう」

 1月22日時点で「1万円以下、配当あり」という条件に当てはまるのは、東理ホールディングス(小売業=100株6600円)、日本コークス工業(石油・石炭製品=100株8400円)、ヤマノホールディングス(小売業=100株8600円)、ヤマシナ(金属製品=100株5100円)といった銘柄。「リスク分散のため、初心者がこういった銘柄の中から株式投資を行う場合には、可能であれば、複数銘柄を組み合わせて投資したいですね。また、損が出た場合には、損失の拡大を防ぐために素早く株を売る、損切りの姿勢で臨みたいところです」(前出の専門誌記者)

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