反面、時流に外れた“お荷物タレント”もいる。「SMAPがその代表格。20年続く名物番組『SMAP×SMAP』は、1回につきジャニーズに6000万円程度の出演料が支払われているといいます。最盛期には30%を超えることもあった視聴率も、最近は1ケタ台に低迷することもあります。CM収入が激減しているにもかかわらず、ギャラは据え置きに近い……これがテレビ局を最も苦しめるパターンなんです」(同) SMAPの解散騒動の際、同番組を制作する関西テレビでは「(番組を終わらせられるので)解散してしまえ!」という陰口が叩かれていたというから深刻だ。ちなみに、「ギャラはメンバー5人で均等配分ではない」(同)という。

 そして、次なるテーマは「ギャラの配分」だ。タレントと芸能事務所は、どうやってギャラを分け合っているのか?「タレントが6割、事務所4割が基本です。これはテレビやラジオ番組の出演料であり、雑誌連載や書籍の印税はタレントの割合がよくなることもあります。地方営業や講演などは、タレントごとに割合が決まっていることが多く、大物ほど取り分が大きくなります。ちなみに、よしもとの場合は、ギャラもタレントによって取り分が異なり、若手の営業ギャラは8割を事務所が持っていくそうです(笑)」(スポーツ紙記者)

 次に、「テレビ局によってギャラのバラつきがあるのか」についてだが、これは「ほとんどない」とか。「日テレ、TBS、フジ、テレ朝は基本的に横並びです。業界にはタレントごとに潜在視聴率と番組貢献度から作られる『ギャラリスト』があって、これを各局が共有しているからです。テレ東でキー局の7掛け程度、地方局で6掛け、予算が少ないBS、CSはキー局の3分の1も出ればいいほうですよ」(前出の芸能事務所関係者)

 キー局にはない過激トークが売りの東京MXテレビも、ギャラは激安だとか。「ブレイク前のマツコ・デラックスさんがコメンテーターとして出演していた番組は、1回に5本撮りで6~7時間拘束されたそうです。それでマツコさんのギャラが2.5万円(笑)。当時は医師や弁護士と同じくくりの“文化人枠”でしたから安かったんでしょうが、それにしてもねえ(笑)」(前同)

 ギャラには地域差も。よく関西出身の芸人が「東京進出してギャラが3倍になった」と口にするが、これは半分しか正しくない。「関西の局が作る番組は軒並みギャラが安く、東京の半分程度。ただ例外もあり、やしきたかじんさん亡き後、“西の女帝”として君臨する上沼恵美子さんだけは、東京並みです」(制作会社幹部)

 上沼のギャラは、60分番組1本で約250万円が相場だというから驚きだ。さらに、関西の局関係者が言うには、「上沼さんが局に入るときは、プロデューサーも直立不動で出迎えます。うちは節電で4基あるエレベーターのうち2基しか動かしていないんですが、上沼さんが出入りする際は、待たせると機嫌が悪くなるので、4基稼働させています」 まさに“女帝”である。

 そして、意外にもギャラが安いのが天下のNHKだ。「業界では常識ですよ。民放の半分もらえればいいほうじゃないですか(笑)。しかも告知NGなど、とにかく制約が多いんです」(芸能事務所マネージャー) 先日、所属していた大手芸能事務所からの独立が報じられた能年玲奈など、「『あまちゃん』で1回5万円だった」(前同)という。「『月9』などの民放ドラマの場合、主演クラスのギャラは1回放送で150~300万円。キムタクが一番高く、1回600万円だったこともあったといいますから、NHKは破格の安さですよ」(スポーツ紙記者)

 また、紅白のギャラも10~30万円が相場だという。「ただ、09年の紅白に出場した矢沢永吉は例外で、出演料3000万円を要求し、NHKもそれを飲んだといわれています」(前同) 視聴率好調、トップ女優の一人である長澤まさみが出演する大河『真田丸』のギャラも激安だとか。「オセロの松嶋尚美は、大河のオファーが来た際、あまりのギャラの安さに驚き呆れて、出演を断ったそうですよ」(同)

 紅白にしろ大河にしろ、「ギャラは安いが、出演すれば地方営業やコンサートのギャラが倍になる」(同)と思って出るのが、タレントのNHKとのつきあい方だという。生き馬の目を抜く芸能界、ときには損して得取れも必要なのだろう。

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