まずは前宮崎県知事の東国原英夫氏。次いで、柔道の五輪金メダリストでもあることから生活の党副代表の谷亮子参院議員の名も挙がったが……。「東京五輪を控えていますから話題性は抜群でしょうが、彼女は一部報道で“自民党にくら変えしての参院選出馬”も取り沙汰されており、都知事選への出馬はやや流動的です」(全国紙政治担当記者)

 この他、女子アナ出身の丸川珠代環境相に、桜井俊元総務省事務次官ら。「“官僚のトップのどこが知名度優先?”と思われるかもしれませんが、この桜井氏、人気アイドルグループ『嵐』の櫻井翔の父親なんです。女性週刊誌でも“翔君のパパ”として取り上げられ、女性の間では知名度抜群」(テレビ誌記者)

 さらには舛添氏の元妻・片山さつき参院議員の名まで……。ここまでくれば、もはや“お笑いネタ”だ。だが各政党は、さすがに慎重になっているようだ。「特に与党・自民党は、石原慎太郎氏、猪瀬氏、舛添氏と、3人連続で推薦して当選した知事が任期途中で辞職していますからね。今回は任期を全うできる人を選ぶのに必死だと思いますよ」(前出の全国紙記者) では、自民党は誰を都知事候補に推すのだろうか。「実は、まだ候補を一本化できない状態です。党都連が舛添氏の9月辞任にこだわった最大の理由もそれ。時間を稼ぎたい思惑もあったのです」(自民党関係者)

 そんな中、党内で一番に浮上するのは、小池百合子元防衛相だという。「彼女はスキャンダルとは無縁だし、閣僚経験などの実績もあります。前回の都知事選でも、党都連は一時、小池氏でゴーサインを出していたといいます」(前同)

 小池氏に決まりかと思いきや、また口を挟んできたのが、あの御仁。「東京五輪組織委員会会長の森喜朗元首相です。小池氏は旧森派時代に、ボス(森氏)の反対を押し切って小泉純一郎内閣の環境大臣に就き、総裁選にも勝手に出馬しました。つまり森氏は小池氏が大嫌い。それだけの理由ですが、安倍晋三首相も、小池氏擁立を諦めたといわれます」(官邸筋)

 結果、“森氏お気に入り”の石原伸晃経済再生担当相や、前述した丸川氏、霞が関が推す桜井氏の名前も急浮上した。知名度優先の部分もあるだろうが、それ以上にクリーンなイメージの強い候補者と言えるだろう。しかし、ここにきて事態は二転三転。話が振り出しに戻り、小池氏を擁立する声が高まっているという。「森氏に対しては周囲が説得に動いているようです。本人も意欲満々。初の女性都知事であり、五輪の顔になるわけですから、国政で埋もれるより魅力的な話でしょう」(前出の鈴木氏)

 自民党が小池氏に執心するのには、理由がある。「民進党が、東京都選出の参院議員である蓮舫代表代行を候補に立てるのではないか」(自民党関係者)という読みがあるからだ。「事業仕分けの印象が強い蓮舫氏なら、税金のムダ使いや癒着の心配はありません。リベラル票の多い東京では、かなり有利です」(民進党関係者)

 岡田克也代表も、舛添氏が辞意を表明した15日の会見で、「勝てる候補が必要だ」と話していた。そうなると、女性初の都知事誕生という歴史的快挙を争い、“小池VS蓮舫”の女の戦いが見られるわけだが、話はそう単純ではない。「蓮舫氏は、2010年の参院選東京選挙区で、2位にダブルスコア以上の大差をつけて勝利しました。改選数6の東京で民進党が2議席を維持するには、どうしても彼女が必要」(前同)

 一方で、こんな裏技も。「参院選東京選挙区で当選後に都知事選に出れば、議員辞職で党は議席を1つ減らしてしまいますが、比例代表に回れば、次点の民進候補の繰り上げ当選という可能性もあります」(前同)

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