その野村氏の南海時代の弟子で、現野球解説者の江本孟紀氏が、阪神タイガースを辞めるきっかけになった名言が、コレ。
●「ベンチがアホやから野球はできん」
昔も今も、プロ野球界では、「首脳陣批判」は最大のご法度。そうしたタブーを破って、痛快な最後っ屁をかまして退団した江本氏は、当時の阪神ファンから「よくぞ言ってくれた」と大喝采を浴び、このセリフは、その後、解説者、タレントとして活躍する江本氏の「キャラクター」を決定づけた。この発言について、江本氏は当初、著書などでは発言自体を否定していたが、近年になって、自分がそう発言したことを認めている。
この江本発言のあった81年、20勝6敗、防御率2.29、奪三振221と圧倒的な活躍を見せて、巨人を4年ぶりの優勝に導いたのが江川卓。78年に野球協約上の「空白の一日」を利用して、ドラフトを経ずに巨人に入団しようとした、いわゆる「江川事件」の主役だが、彼のキャラクターを決定づけた発言が、激昂する記者を前にして言い放った次のひと言だった。
●「そう、興奮しないで」
この発言で、記者たちがさらにヒートアップしたことは言うまでもない。87年、9年間のプロ生活を終え、32歳の若さで現役を引退した江川氏、当初は引退の理由について、投手生命をかけて、
●「禁断の針を打った」
と、野球漫画のヒーローのような作り話をしていたが、鍼灸医療のプロたちから、「そのような針は存在しない」とクレームがつき、虚言であったことが暴露される。江川氏は、のちに引退の理由について、次のように発言を修正している。
●「勝てなくなったとき、いつまでもユニフォームにしがみついていてはダメだと思います」
江川引退から2年後、巨人と近鉄が対決した日本シリーズで飛び出した名言が近鉄の加藤哲郎投手が発したといわれる次の言葉。
●「巨人はロッテより弱い」
このシリーズ、始まるなり、近鉄があっという間に巨人に3連勝。王手をかけた3戦目に先発し、6回1/3を3安打無失点に抑えた加藤のこの発言で、巨人ナインの怒りに火がつく。巨人は残りの4試合を全勝し、逆転優勝する。しかし、実は、加藤は「巨人はロッテより弱い」とは発言していないのだ。実際の発言は次の通り。「(巨人に)打たれそうな気がしなかったし、大したことなかった。シーズン中のほうがよっぽどシンドかったです。相手も強いし」 まあ、発言内容を意訳すれば、ロッテより弱いということになるのだろう。その後、日本一を味わえないうちに球団自体が消滅してしまったことを考えれば、悔やんでも悔やみきれないひと言だった。