「他の議員と違って政治資金収支報告書の入りと出の金額が合わなかったうえ、虚偽記載の理由が悪質と判断されたからです」(前同) 年に1~2度、小渕氏の女性後援者たちが東京で行う観劇会で赤字が生じたように装い、政治資金収支報告書に虚偽の内容を記載したとして、秘書2人が逮捕。執行猶予付きの有罪判決が15年に確定している。

 また、今年に入ってから都市再生機構(UR)への口利き疑惑で大臣辞任を余儀なくされた甘利明・前経済再生大臣も同様だ。「秘書が依頼者から600万円受け取りながら一部しか政治資金収支報告書に記載しなかったため、悪質な政治資金規正法違反(虚偽報告)で告発されました。“甘利氏自身もカネを受け取って背広の胸ポケットに入れた”という報道があり、検察もあっせん利得処罰法違反に問おうとしたものの、最終的には不起訴。グレーな決着となりました」(全国紙社会部記者)

 しかし、これだけ金権疑惑が多ければ、参院選を前に首相が“舛添辞任”を急がせたのも無理はない。「安倍首相の第1次政権も“ナントカ還元水”や“バンソウコウ大臣”など閣僚の金権疑惑が続出したことで07年の参院選に大敗し、崩壊しました。今回の一連の醜聞が、再び政権の“終わりの始まり”にならないよう、首相はピリピリしていることでしょう」(前同)

 だが、そんな首相の努力(?)をあざ笑うように、6月中旬、またぞろ新たなカネの疑惑が噴出した。安倍首相キモ入りの「1億総活躍担当大臣」を務める首相側近の加藤勝信衆院議員が、その主役だ。「加藤大臣は、自民党の国会議員350名が加盟する『国民医療を守る議員の会』の事務局長でもあります。この議連には、診療報酬の引き上げを求める日本医師会から13年11月に500万円、14年10月に100万円が寄付されているのです」(前出の社会部記者)

 が、なんと、この議連、いまだに団体登録の届け出をしていないことが判明。「医師会の政治団体である『日本医師連盟』の政治資金報告書には、受取人として“事務局長 加藤勝信”と明記されています。一方、『議員の会』のほうは団体登録されておらず、当然、収支報告書もなし。いったい、このカネはどこに消えたんでしょうね」(前同) もし献金を公表しないために、あえて団体届け出をしていないとしたら「裏ガネ作り」と言われても仕方ない、明白な政治資金規正法違反。早く届け出て、そのカネを国民のために“総活躍”させてもらいたい。

 さて、診療報酬に絡む贈収賄といえば、思い出すのは01~04年を中心に取り沙汰された「日歯連事件」。歯科医の団体である日本歯科医師連盟(日歯連)が、診療報酬の改定や会長選などをめぐって、買収や、橋本龍太郎・元首相、野中広務・元自民党幹事長ら大物政治家へのヤミ献金・迂回献金を行い、最終的に自民党国会議員、日歯連幹部ら計16人が起訴され、全員の有罪が確定した大疑獄だ。「その日歯連が、安倍政権の成立後、またもや政界に怪しいカネを流し始めたのです」(前出の政治部記者)

 昨年4月、自民党の石井みどり参院議員の後援会に他の議員の名義を迂回したものも含め、寄付制限を超える合計9500万円ものカネを献金したとして、東京地検特捜部が日歯連の本部を家宅捜索。9月には、日歯連の歴代会長と会計責任者ら3人が、政治資金規正法違反で逮捕された。

  1. 1
  2. 2
  3. 3