「石井氏は日歯連が擁立する参院議員ですが、そんな巨額を寄付されるような大物ではありません。“その先”への迂回献金を狙ってのものだと見込み、特捜部が動いたわけです」(前同)
同後援会の政治資金収支報告書を見ると、献金は1月と3月。そして4月の家宅捜索以降、猛烈な勢いでそのカネを支出している。「各所への“資料送付費”が5~30万円、“支援者名簿データ化費”が1300万円以上。どんな大荷物を送り、何百万人分の名簿をデータ化したのか分かりませんが、まるで寄付された9500万円を“なかったこと”にするかのように“適切に処理”しています」(同)
この事件が明るみに出た昨年5月、『週刊ポスト』に一つの記事が躍った。「13年の参院選前、安倍政権のキーマン・菅義偉官房長官に、日歯連から別の議員を迂回して3000万円が献金されたというのです。この真偽は不明ですが、特捜部の読み通りなら、今回も診療報酬の引き上げに大きな影響力を持つ“大物”を複数狙った可能性もある。野党は今、“別ルート”を探して日歯連周辺を必死に洗っています」(前出の社会部記者)
ちなみに菅氏は、昨年末に大規模な政治資金パーティを開催。1万円という会費にもかかわらず、2000人近くを集めている。「1000万円以上の規模のパーティは、大臣規範で自粛を求められているんですけどね。選挙をにらんで物入りだったのか、入る予定のカネが入らないことでもあったのか……」(前同)
まるで伏魔殿のように入り組む、政界のカネ事情。この調子だと、さらに政権の“急所”となる疑惑が出てきてもおかしくはない。「舛添問題で注目される今、政治資金規正法の改正とはいかないまでも、第三者による厳しいチェックが必要。今回の参議院選挙では、こうした視点で投票をする必要もあると思います」(政治評論家の鈴木哲夫氏) カネに転ばない政治家を選ぶため、我々の一票を“適切に処理”したいものだ。