また、介護費や医療費が高額になった場合の軽減策もある。高額介護サービス費制度や高額療養費制度を使えば、収入が低く、介護費・医療費がかさむ人ほど、定められた上限を超えて払いすぎた分を返してもらえる場合もあるのだ。2つを合算しての申請も可能なので、ぜひ利用したい。「対象者には、必ず市区町村からお知らせが来ます。介護で忙しくても、こうした通知を見逃すと“損”をすると心得て、必ずチェックしてください」(中村氏)

 もちろん自ら申請しなければ、費用が還付されることもないので、制度を知っておくことが必要だ。また、少し裏技的なのが世帯の分離。介護保険料や自己負担金などは世帯所得によって決まるため、現役の子どもや孫と同じ世帯だと、親自身の年金収入はわずかでも“高所得”と見なされ、支給金額の上限が低くなってしまう。そのため、役所に「世帯変更届」を出して親を独立した世帯主にすれば、保険料や福祉施設の費用などを、場合によっては半額近くにまで節約できるのだ。

 いずれにせよ、こうした対策に大切なのは、事前に親の資金や資産の状況を、きちんと把握しておくこと。「親が元気なうちに腹を割って話し、どれくらい収入や資産があるのか確認しておくことが大切です。それをもとに、いざというとき何を申請し、どこに連絡するべきか、考えておきましょう」(中村氏) 親孝行はしたくとも、共倒れでは本末転倒。お互い余裕のあるうちに、家族で「いくらかかり、いくら使え、いくら減らせるのか」を話し合っておこう。

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