「だって、古賀某の場合、報道が出て一晩明けたら、もう別の候補の名前が出てるんだからね。もうこうなったら、笑い話だ。それに比べると、“櫻井パパ”の判断は賢明だったね。自民党の都連が口説きに行ったのは事実だけど、きっちり辞退したからね。口説きに行くヤツもバカが多いんだけど、あれがフツーの反応。だって、出馬したって、本人にも息子にも何のメリットもないだろう」

 結果、有力候補として正式に出馬したのは、増田寛也元総務相、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏、小池百合子元防衛相ら。それから、“珍候補”として、山口敏夫元労相がいる。「まず、増田氏からいこうか。彼は、一定の評価は得られそうだけど、残念ながら、僕自身、よく知らないから、何とも言えないね。逆に、ヤマちゃん(山口敏夫氏)とは親しいけど、なぜ今回出馬したのか、理由が分からない。だって、勝算はないし、いまさら山口敏夫の名前を売るメリットもない。まったく気が知れないねえ。

 鳥越俊太郎のことも知ってるけどねえ……もう、76歳だろう。その年齢で、しかも、がんを患ってて、選挙に出るというのは無茶だよなあ。僕が友達なら、むしろ、出馬を止めてあげたいよ。参院選で改憲勢力が3分の2以上を占めたため、これではいけないと思い、出馬したって伝わっているけど、それは国政の問題だからね。改憲といったって、まだ先の話だし、都民にしたら、ピンと来ない。どこかピントがずれているんだよねえ。

 あとは小池百合子。彼女が国会議員になって初登庁の日、先輩である僕のところに挨拶に来たんだけどね。その恰好を見てビックリ。サファリルックなんだよ。理由を聞いたら、“先生、永田町は魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界、どんな猛獣や珍獣が住んでいるかもしれませんでしょ”だって(笑)。肝が据わっているっていうかね、だから僕は、当時から彼女に一目置いていたんだよ。まあ彼女は自民党内で嫌われているから、ああやって勝手に出馬表明し、党の推薦が得られないと分かるや、一転して反旗を翻したわけだけど。それにしても、度胸が良すぎるよ。ただ、ジャンヌ・ダルクというか、“女一人の戦いを見てほしい”という彼女の度胸に、シビれる殿方もいるんじゃないの。僕にはとてもマネができないね」

 混迷の色を増す都知事選だが、では、どの候補なら、都政を変革できるのか。「都政の役人は有能な反面、ずる賢いからね。都知事が余計なことをできないように“壺”を用意して、“ハイ、この中に入ってください”って待ってるんだよ。だから、いくら意欲を持って都庁に乗り込んでも、最終的には役人や都議会とうまくやって、任期を全うしたほうが楽だと思っちゃうわけだね。

 だから都庁の役人にしたら、派手に動き回る人より、地味な人のほうが御しやすいワケ。有力候補の中でいうと、嫌なのは小池だね。彼女が都知事になって好き勝手やられたら、えらい迷惑だからね。逆に、役人や都議会とうまくやっていけそうなのが増田さんだろうなあ。ただし、それと当落はまた別の話だよ」

 この都知事選を制した者が事実上、4年後の東京五輪の“顔”となるが……。「オリンピックはスポーツの祭典。誰が知事をやっていたって、そんなものは実際は関係ないよ」 酷暑の中の戦いは、まだ始まったばかりだ――。

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