●夢もないほど計画路線はいっぱい!? 縦横無尽「高速道路編」

 建設の有無がたびたび問題視される高速道路。特に、地方で建設される道路には厳しい意見が寄せられるが、費用対効果だけで、その重要性が測れないのも交通インフラの宿命である。

「仙台から八戸まで沿岸部を縦断する三陸道は、建設が先延ばしにされていた路線の一つです。しかし、東日本大震災の発生で、その価値が見直され、現在は急ピッチで建設が進められています」(全国紙記者)

 実は、これと似て、リスクを抱えながらも先延ばしにされている路線は日本中にあり、羽越地方や山陰、紀伊半島は特に、その危険性が危惧されている。「九州も、福岡から鹿児島までを縦断する高速は熊本経由の九州道のみの状態がずっと続き、宮崎経由で九州を縦貫する東九州道が全線開通したのは今春でした。高速道路は、各地で根本的に不足している状況と言っていいでしょう」(前同)

 高速道路が足りないのは、首都圏も一緒。茨城、栃木、群馬を結ぶ北関東道は、「沿線都市が地味なこともあって、当初はその建設に疑問の声も上がりましたが、今では24時間の交通量が5万台近い区間もあるほど。この8年間で、7倍もの交通量の増加を見せる区間もあるんです」(同)

 実は、これらの高速道路はいずれも、何十年も前に国が計画路線として設定した路線。国土交通省がその計画図を公開しているが、高速道路の計画路線は日本中に張り巡らされているのだ。ところが、この計画路線にすらなっていないにもかかわらず、その建設熱が高まっている路線がある。

「それは第二中央道です。都内を走る現行の中央道は、他の主要高速の首都圏部分が6車線であるのと違って4車線しかないため、渋滞しやすく、しかも渋滞時の速度は非常に遅い。かといって、車線を増やす土地の余裕もない。そこで、どのような形になるのかも含めて第二中央道の建設について、関係機関と意見交換しています」(都庁職員)

 現在、東京を三重に囲む高速道路「三環状」の建設が進んでいるが、加えて、第二中央道まで完成すれば、「首都高の渋滞発生回数は現在の半分はおろか、4分の1にまで減らすことも可能です。首都高を走る車両の約6割が、都内に用がない“通過車両”ですからね」(前同)

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