美味ウンチク「カレー&ハンバーグ」の秘密!の画像
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 カラ~イぶっかけ飯もいい、ジューシーな肉塊にカブりつくのもいい――さてさて、今晩の夕ご飯はどっちだ!?

 ミナミもキタも、首ったけ!? 現在、「カレー」が大阪で大流行!!「ブームの火つけ役は、スリランカ料理店『ロッダグループ』のカレー。かなりの辛口!ですが、ココナッツミルクも使われ、辛さの中にも甘さもあるのが特徴。干し魚の出汁も使用しており、日本人になじむ、どこか懐かしい味で、カレーブームを牽引してます」(大阪在住の食ライター) 残暑の厳しい中、我々の身体がこの“スパイス食”を欲するのも至極、当然のことだという。

「カレーに含まれるスパイスには、健胃、食欲増進、消化促進の効能があり、夏バテ防止に最適。具材としてよく使われる豚肉には“元気ビタミン”とも呼ばれるビタミンB1が多く含有され、異常な暑さに体力が奪われる中、人々は自然とカレーを求めるんでしょう」(外食コンサルタント) カレーといえば、先日、“メジャー3000本安打”を達成したイチローも、毎朝、妻・弓子さんの作るカレーを食べていたことは有名。秋まで、もうひと頑張りしたい、働く男たちこそ、カレーを食べるべきなのだ。

 鼻をくすぐるスパイシーな香り、トロトロのルーに肉にジャガイモ、そして、福神漬け。白米と一緒にかき込むべく、いただきます……くぅ~!! 美味爆発!! しかし、ふと“あいつ”の存在が頭をよぎる……そう、「ハンバーグ」である。

 来年1月、初めて挑むミュージカルで、下着姿を披露する長澤まさみ(29)が絶賛する、彼女の地元・静岡県のレストラン『さわやか』の「げんこつハンバーグ」の局地的人気がすごい。全国のグルメ愛好家の耳目を集めているのだ。

「オーダー後、テーブルに到着するのは、アツアツの鉄板に乗った“げんこつ”サイズの俵型ハンバーグ。それを店員さんが半分に切って、ソースをかけてくれるんですが、そのソースが沁み込む切り口は赤く、少しレアな状態。それを、鉄板の熱で、好みの焼き加減に仕上げて食べるんです」(東海地方の食ライター)

 本誌記者はさっそく、静岡へ。食してみると、ローストビーフのように、肉本来の食感と旨味がガツン。鉄板いっぱいに溢れ出る肉汁もフレッシュで、ビーフの味が全身にジュワ~ッと染み込む!!

 疲労回復効果でいうなら、ハンバーグもカレーに負けてない。『さわやか』は牛肉100%ですが、一般的な合挽き肉を使ったハンバーグなら、豚肉、玉ねぎにもビタミンB1は多く含まれ、牛肉のビタミンB5を一緒に摂ると疲労回復効果が増します。また、豚肉のビタミンB1と玉ねぎのアリシンが結合して“アリチアミン”になると、ビタミンB1の働きが長時間持続し、エネルギー生産効率がさらに向上。夏バテにもオススメ」(前出の外食コンサルタント) ウマくて元気が出る!! カレーとハンバーグは、洋食の王様にして、究極の“夏のオトコ飯”なのだ!!

 ということで、「どっちが王様か」という前に、知ればもっとウマくなる、グルメな秘密を全部出し!!

 まずは歴史から。日本人が初めてカレーを目撃したのは、1863年(文久3年)。幕府遣欧使節の一人だった三宅秀が、インド人の食事を目撃した際の記録を、こう残しているのだ。<飯の上へ唐辛子細味に致し、芋のドロドロのような物を掛け、これを手にて掻きまわして手づかみで食す。至って汚き人物のものなり>

 その風景は、箸文化の日本人には相当、奇異に映ったのだろう。実際、日本人でカレーを食べたという最も古い記録は、1871年(明治4年)、日本初の物理学者となった山川健次郎によるもの。「アメリカへ向かう船の中、西洋料理が口に合わず、体調を崩していた彼が、食堂のメニューから見つけたのがカレーライスだったとのことです」(歴史学者)

 明治5年になると、「西洋料理通」「西洋料理指南」の2冊の本に、カレーのレシピが登場。ここからカレーが日本に広く伝播する。しかし、誤解は禁物だ。「カレーが日本に伝わったのは、インドからでなく、インドを植民地支配していたイギリス人が自国に持ち帰り、西洋料理としてアレンジしたものでした。インドのものよりトロみが強いのは、カレーが英国海軍のメニューに採用された際、船の揺れでこぼれないように、小麦粉を入れたためといわれています」(前同)

 明治9年には、「少年よ、大志を抱け」のクラーク博士が、札幌農学校の寮に住む学生の栄養状態を改善するため西洋料理を推奨し、<生徒は米飯を食すべからず、但し、らいすかれえはこの限りにあらず>という規則を作ったという。クラーク博士もカレーをオススメしたのだ。一方、「昭和の時代、カレーライスかライスカレーかという議論がありましたが、そのきっかけは、このクラーク博士の言葉にあるのではと言われていますね」(同) 米にカレーをかけるでも、カレーを米にかけるでも、どちらでも苦しゅうない。たっぷりかけて、いただきます……くぅ~~!!

 以後、家庭料理として普及したカレー。ルーツは、旧日本海軍にあるという。「明治の初め、海軍・陸軍軍人が病死した最大の原因は脚気でした。白米中心の偏食ゆえです。そこへ、英国海軍のメニューにあるカレーを採用したところ、脚気での病死が大きく改善。これを、故郷に帰還した兵士たちが全国に広げたんです」(前出の外食コンサルタント)

 現在でも、海上自衛隊では毎週金曜日、すべての部署でカレーライスを食べる習慣が残っている。「長い海上勤務期間中、曜日感覚がなくなってしまうのを防ぐために、この習慣が残っているんです。海上自衛隊の基地がある横須賀では“よこすか海軍カレー”をご当地グルメとし、街おこしの目玉の一つになっています」(前同) 軍だけに地域振興をグングン推し進める……ってか。

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