こうした背景から、8月24日に決まった、海上保安庁の今年度の第2次補正予算案は、過去最大となる674億円を計上した。「同庁全体で尖閣警備専従部隊への応援態勢を取るため、大型巡視船3隻を新造します。また、防衛省の来年度予算要求は過去最大の5兆円超。この中には尖閣防衛のため、23年度配備を目指した、新型地対艦ミサイルの研究開発費が盛り込まれています」(前同)

 一方、中国側も黙ってはいない。「日本側が島しょ防衛のために、新たに自衛隊部隊を周辺に増強、派遣したことに中国は刺激されており、日本が圧力をかけるのなら、こちらもさらに圧力をかけようという構えです。様々な手口、工作を駆使して、自衛隊に関する情報収集を強化するため、沖縄各島に工作員らを新たに送り込んでいるようです」(井野氏)

 さらに、「中国側、特に軍内では“1980年代に中越戦争でベトナム軍と国境で衝突して以来、軍は本格的な実戦を経験していない。士気高揚、練度向上の点から、そろそろ適当な機会が欲しい”という声が高官たちから断続的に発せられており、尖閣が一つの舞台となる可能性は少なくありません。また、南シナ海、東シナ海の中国によるガス田開発の現場では、表向き“探査や開発”など非軍事的な目的を取りつつ、レーダーサイトなどを作り、実質上、軍事的な拠点にしようとしています。尖閣周辺で同じような目論見を持っているのは間違いありません」

 ますます緊迫する極東情勢。安倍首相と稲田防衛相の手腕が、今まさに問われている。

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