したがって、2人の発言は似通ってくる。総裁任期延長に疑問を呈するコメントでも、両者「なぜ今」というフレーズを使っている。

「つまり、石破・小泉(進次郎)連合が安倍首相の総裁任期延長を阻止すべく、政局絡みの動きを見せることは十分に考えられます」(前同)

 しかし、それはあくまで前哨戦なのだ。自民党関係者が、こう続ける。

「何かと歴史とオーバーラップさせるのが好きな永田町では、今の安倍首相の状況を、関ヶ原の戦い直前に、ライバル陣営を切り崩して多数派工作する家康とダブらせています。政治改革実行本部の本部長には、昨年の安全保障関連法の与党内論議をまとめた高村正彦副総裁が就任、本部長代行には茂木敏充政調会長が就きました。安倍さんは、続投に賛成しそうなメンバーを糾合し、実行本部を中心に中央突破しようとしているんですよ」

 そして、きたる本戦(18年9月の総裁選)で“ポスト安倍陣営”を蹴散らす作戦なのだ。今のところ、想定される安倍首相の対抗馬は、岸田外務大臣と石破氏だ。

「総裁選でも、進次郎氏は石破氏を支持する公算が高いと思います。そうなれば安倍陣営としても侮れません。進次郎氏が石破氏を推すことによって、党の若手票や地方票が石破陣営に流れ込んでくることが予想されるからです」(鈴木氏)

 そもそも、進次郎氏と安倍首相の政治ポリシーはかけ離れている。いくつか焦点を絞って比べてみよう。まず、安倍首相が意欲を燃やす憲法改正。それについて進次郎氏は「野党第一党を巻き込むときが憲法改正のタイミング」と述べ、早急な改憲には慎重な姿勢を見せている。

 さらに、原発を巡っては安倍首相と真っ向から対立している。

「表向き、進次郎氏は原発の再稼働に慎重な姿勢を見せるにとどまっています。しかし、父親の純一郎元首相の影響もあり、本音は脱原発派。進次郎氏と交流のある福島の地方議員らは、そう口をそろえています。経済産業省と一体になって原発政策を推し進める安倍首相とは正反対の立場なのです」(全国紙政治部記者)

 安倍政権の命運を担うアベノミクスについても、進次郎氏はかつて雑誌の取材に対し、「アベノミクスは時間稼ぎに過ぎない。ほかに取り組むべき構造的な課題がある」と批判的だ。

 同じ党にいながら、政策的には安倍首相と正反対とも言える進次郎氏。天下分け目の関ヶ原となる次の総裁選で、彼が中心となる「石破・小泉」連合が、最強と謳われる“安倍軍”を倒し、天下を掌中にできるのか!?

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