●投資信託の積み立て

 個別企業の株式を購入するときのように、ある程度まとまった資金は必要ない。では、どういった投資信託を選べばいいのか?

 運用のプロが資産配分を考えてくれる、日本や海外の株式や債券に分散投資できるグローバルバランス型の投資信託だと毎月自動引き落としで積み立て投資をすれば、20年~30年という長期間では預貯金よりも優位な利率で運用することができ、資産額に大きな差が出てくるとよくいわれる。だが、横山氏が次のように話す。

「購入手数料が無料のノーロード型投資信託でも、信託報酬(販売会社や運用会社等に支払われる運用管理費用)が高くなりがちなうえ、日本株式が何%、海外株式に何%と、どのような資産配分で運用されているかが把握しにくいんです」

 横山氏が続ける。「毎月1万円積み立てるとしたら、バランス型の投資信託ではなく、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など特定の指数に連動して収益を目指すインデックスファンドを、いくつか選んで、自分でバランスよく管理するほうが分かりやすいでしょう」

 どういったタイプのインデックスファンドを選べばいいのか悩むが……。

「日本株式=3000円、海外株式=3000円、海外債券=4000円と投資先を分散する配分が、バランスが取れていいんじゃないでしょうか。ひと手間かけて、ノーロードで信託報酬ができるだけ安いものを選びましょう。今なら、(1)=日本株式インデックスファンド、(2)=円高に振れているので米ドル建て米国株式インデックスファンド、(3)=資源株式ファンドの3つで構成してみてもいいかもしれません」(前同)

 どのようなファンドを買えばいいのかは分かった。しかし、買い始めるタイミングを、どうしたものかと悩んでしまう。「投資信託の積み立ては、積立定期預金と違って常に金額変動のリスクが考えられます。基準価額が安くなったときに購入をスタートするのが重要です」(同)

 では、今は買うタイミングとして、どうなのか?「昨年の夏の日経平均株価が2万円を超えていた時期を考えると、株価が下がってきている今は始めるのにちょうどいいと思いますよ」(同)

 買い方は定期的に一定金額を継続して購入する“ドルコスト平均法”が定番だ。売買するタイミングを考える必要がない。基準価額が高いときは少しだけ買い、安いときには多く買うから購入単価が平均値になるので、平均購入単価を低くできる。だが、注意が必要だという。

「ドルコスト平均法だから、いつスタートしてもOKみたいな謳い文句がありますが、基準価額が値下がりしているときの高値から始めると含み損を抱えた状態が続いてしまう可能性が高いんです。できるだけ安いときに始めたいですね」(同)

 ドルコスト平均法も万能ではない。ただ買い続ければいいというわけではない。「投資信託の積み立てでも、価格変動リスクがある株式や債券などに投資しているので、利益が出たら一度、売却することが必要です。特に自動積み立てだと基準価額が高いときも買い続けてしまうので、見直しが重要になってきます」(同)

 積み立て投資の場合でも、基準価額や市況のチェックは欠かせないようだ。

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