もはや、安倍自民にとってライバル不在の状況。解散するなら「今でしょ!」という絶好のタイミングが来年1月なのだ。早くも永田町では、12月の日露首脳会談の結果によらずとも、2月の総選挙では「自民圧勝」との観測が流れ、票読みが始まっているという。選挙情勢に詳しい政治評論家の浅川博忠氏が、こう分析する。「自民の獲得議席は現有議席を仮に下回ったとしても、せいぜい10議席。公明党・日本維新の会と合わせ、現有勢力は維持できると見ています」

 つまり与党は、東京五輪後までの4年間、改憲議席数を維持したまま、安定して政権の座に居続けることができるのだ。そうなると、長期安定政権をもたらした安倍首相の党内での求心力と発言力はますます強固なものとなる。「実は、それこそが安倍首相の本当の狙いなんです」(前出の官邸筋)

 安倍首相の総裁任期は2018年9月まで。党内には連続3選を禁止する規定があるからだ。しかし、二階幹事長が旗振り役となり、「総裁任期3期9年」へ向けた動きが加速。3月の党大会で正式決定する方針だという。「直前の総選挙で大勝した安倍首相の総裁任期延長に、誰も反対できないはず。つまり、1月解散は、総裁任期延長を実現する布石にもなると読んでいるんです」(有馬氏)

 安倍首相の狙いは、それだけではない。「今のところ、“ポスト安倍”の最有力は石破茂氏(前地方再生担当大臣)ですが、総選挙で大勝に導いた総裁を前に、石破氏がはたして出馬できるかどうか。総選挙の勝利によって安倍首相は“ポスト安倍”の動きを封じ、無風で総裁3選を実現しようとしているんです」(前同)

 さらに、小池百合子東京都知事が目論む新党結成を牽制する狙いもあるという。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう分析する。「来年夏の都議選挙を前に、小池新党旗揚げの可能性があります。小池氏はその後、国政選挙で中央へ議員を送り込むという流れを考えているはずです」 その前に総選挙を実施すれば、国民的人気を博す小池氏の動きを封じ込めることにもつながる。

「かくして、創価学会票のほか、現執行部に反発する民進党支持勢力の票を取り込みつつ、焼け太るのは安倍自民だけというシナリオです」(官邸筋) 選挙後は、第4次安倍内閣が発足することになるが、早くも、仰天すべき人事情報が流れている。金銭授受疑惑で告発されていた甘利明・元経済再生担当大臣が入閣するというのだ。

「甘利氏は安倍首相の盟友であると同時に、政権のビッグ4の一人。今夏の参院選後の所信表明演説で安倍首相は経済を強調しました。その演説を聞いた永田町関係者の間で、経済閣僚だった甘利氏が何らかの形で復帰するのではないかと噂されたのは事実です。金銭授受疑惑も不起訴に終わり、甘利氏が2月の総選挙で当選すれば、“みそぎ”をすませたことになります。重要ポストで復帰する可能性も十分にあります」(前出の鈴木氏)

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