任天堂銘柄には投資しなくても儲けるのは可能。『年収300万円掃除夫の僕が1億円貯めた方法』を上梓した元掃除夫・www9945さんの手法は短期・急騰株ではなく、配当銘柄だ。

「ゲームはやらないし、分からない私がアミューズメント業界の未来予測は難しい。私が投資するのは、シンプルな構造で分かりやすい銘柄なんです」と語る。www9945さんが投資しているのは、センチュリー21・ジャパンに日本エス・エイチ・エルの2つだ。

「センチュリー21・ジャパンは、誰でも看板を見たことがある、不動産賃貸の会社ですが、フランチャイズビジネスで手数料が売上となる仕組み。私が投資する際に重視するのは、(1)ゆるやかに上昇している月足チャート(2)配当利回りがよく、増配基調(3)ROA(使った資産に対して、どれくらいの利益を出したのか)(4)借金が少ない(利益剰余金の10%以下)の4つです」

 センチュリー21・ジャパンの場合、2014年の配当金は30円、15年は40円、16年は45円と、ゆるやかに増配が続いている。配当利回りは3.4%で、一般的に8%程度で、10%が優良といわれるROAは14%。借金ゼロだ。

 日本エス・エイチ・エルについては次のように話す。「同社は採用試験や社内適性試験を行う会社です。人事、採用のアウトソーシングの会社で、アウトソーシングの会社は効率がいいところが多いです。15年の売上高営業利益率は41%と効率がいい。14年92円、15年98円、16年98円と、ゆるやかな増配傾向。配当利回りは3.5%。ROAは15%で借金ゼロです」 同氏が他に注目するのは、官公庁や企業の福利厚生業務の運営代行を行う企業・ベネフィット・ワンだ。

 www9945さんは安定成長株へ投資し、憧れの配当生活を送っているが、当初は“1億円貯めて配当金や利息で暮らして退職したい”という夢を持つ、短期勝負の投資家だった。「もともとはギャンブル好きで、株式のチャート分析をしていましたが、清掃員として働いていたときに持ち帰り弁当『ほっともっと』を展開するプレナスを知り、投資しました。ちょうど首都圏への出店戦略と重なり、平均取得単価は1300円だった株価は2600円と2倍になったんです。手取り給与額の35%を株式投資に回してきました。清掃用具を見て、消耗品に特化した米国株のスリーエムに投資したこともあります。このときは80ドルで買い、100ドルで売りました。こうした投資で確信したのは、人の意見よりも自分の目で判断できる身近な会社のほうが儲かるということです」

 割安な株式に投資を続け再生医療のiPS(人工多能性幹細胞)ブームのときには、「シームレスカプセル」技術の製造ノウハウを持つ森下仁丹に投資。アベノミクス相場では株価は560円から1200円に上昇。www9945さんは目標の1億円どころか2億円以上の資産を有し、清掃会社を退職し、憧れの配当生活を手に入れたのだ。

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