頼れる先発投手、技術力の高い中心打者、ここぞというときの救援投手。投打で超一流の才能を発揮する大谷を、いかに使いこなすのか? 侍ジャパンの命運はこの一点にかかっていると言っていい。

 実は、これまで日ハムの公式戦ではない国際試合や球宴で、大谷が二刀流選手として登場したことは一度もない。あくまでも投手あるいは野手として、どちらかでの出場に限定されてきた。もちろん、これは大谷の所属する日ハムの方針だったのだが、来年のWBCに限っては、この“縛り”を外し、“限定解除”を容認する方向に、日ハムは方針を転換したという。

「2020年東京大会で復活する五輪野球への機運を高めるためにも、WBCでの世界一奪回が至上命題。その手段として、大谷を投打のどちらかに限定せず、WBCの秘密兵器として使うことを、球団は容認したんです」(前同)

 小久保監督が本番に向けて進めようとしている「中軸打者」「先発」そして「抑え」として獅子奮迅の働きをしてもらおうという「三刀流」プラン。しかし「投に打に使える限り使いまくる」というやり方は大谷を潰してしまいかねない。「現実的には、日本シリーズで栗山監督が使った“大谷が出るというフェイクでプレッシャーを与える”という作戦も、効果的に使うべきでしょうね」(同)

 また、WBCの細かいルールは、現時点で定まっているわけではない。球数制限がどうなるかも分からないし、「先発投手は次の試合に出られない」といったルールが、大谷のような二刀流選手に適用されるのかどうかも不明確だ。

 06年のWBCで、侍ジャパンの正捕手として世界一に貢献した野球評論家の里崎智也氏は、「なんでもかんでも大谷に頼りすぎるのはリスクが大きすぎます。侍ジャパンには日本で一流の選手が集まっているわけですから、大谷一人に頼る必要はない」と、苦言を呈する。

「一流の中の一流がそろう日本代表、それぞれの選手のプライドもある。大谷ばかりに頼ることで不興を買い、チームがバラバラになってしまうこともあるかもしれません」(前出のスポーツジャーナリスト)

 まさしくその通りで、小久保監督は難しい舵取りを迫られることだろう。「ただ、ここぞというとき、たとえば準決勝、決勝でのスクランブル登板は十分にありうる。勝ちたいときに大谷がいるのは心強いでしょうね」(前同)

 来シーズン終了後のポスティングも噂される大谷。日本代表としてWBCを戦うのは来年が最後の機会かもしれない。侍ジャパンで破格の若武者が「世界」を制する瞬間が迫っている!

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