Y さっきも体の話をしましたけど、長渕さんはイメージが変わり続けていますよね。デビュー時の線の細い感じから、どんどんいかつくなり、今度は女性ファンも増えて。
N 声からして変わってますからね。昔は裏声を使ったりして儚な雰囲気でしたけど、本人はそれが嫌で、ある時期、自分の声帯を痛めつけていたんです。強烈な酒を飲んでそれを吐く、海岸に行ってきつい潮風を浴び続ける、血を吐くまで歌う……ということを繰り返して、どんどん声を潰していったんですね。
Y すごい。
N 「変わり続けていたい」「安住することなく、常に今の自分を歌っていたい」という意識があるんだと思います。昔のCDを聴き返すと、数年おきに声が全然違ったりしますからね(笑)。
Y 永ちゃんには、そういう激しさはないですね。ずっとイメージも変わらないし、ライブの曲目もわりと、毎度お決まりだったりする。キャロル関連の伝説(※4)や一部のファンによる破天荒な逸話も多いけど、本人はライブの前は半年、酒も控えて節制するくらい真面目な人なんですよ。
N 「オレはいいけどYAZAWAがなんて言うかな」っていう名言がありますけど、それだけ寸分の狂いもない「YAZAWA」を見せたいんでしょうね。
Y そういえば、永ちゃんのライブは禁酒なんです。
N どういうことですか?
Y 普通、ライブ会場ではビールを売ったりしますが、永ちゃんのライブでは、お酒は絶対にNG。そればかりか事前に飲んでいても入場不可で、会場の入り口に“検問”があるんです。
N えええ!!!
Y しかも、呼気を機械じゃなくて、人間に吹きかけるの(笑)。屈強なSPみたいな人に。
N かけるほうも、かけられるほうも嫌ですね……。
Y 昔はライブ中に暴れるような凶暴な客も一部いて、「矢沢には貸さない」という会場もあったんです。その結果として酒の規制も生まれたし、今でもライブの広告に「特攻服を着ての入場はお断りします」という文言が入ってるんですよ。
N なるほど。