Y 永ちゃんの場合は、「止まらないHa-Ha」「トラベリン・バス」で必ずタオルを上に放り投げます。あ、もちろん“E.YAZAWA”タオルですよ。イントロが始まった瞬間に、肩にかけてるタオルをすぐ投げられるよう持ち替える動きが、会場中でゴソゴソと始まるんです。

N かわいいですね(笑)。

Y で、MCで「帰りにうまいビール飲んでってください! ヨロシク!」とか言うと、ライブ中に酒を飲めなかった人が近場のコンビニに殺到して、永ちゃんがCMをやってる「プレミアムモルツ」が完売するという。

N すごい! 完成されたシステムだ。

Y 歌詞を書かない永ちゃんは、自分の情念というより「YAZAWAというスタイル」を見せ続けることで人を魅了してきたから、同じことをずっと安定的にやり続けられるし、ファンも安心して、それに従える。死ぬまで戦い続け、予測不能に変わり続ける長渕さんとは対極ですね。

N 剛は、喜怒哀楽で言うと「怒」と「哀」を徹底的に描く人ですからね。詩画もやるんですが、5メートル四方くらいの巨大な紙に、墨を含むと20キロ以上になりそうな大きな筆で即興の詩を書きながら「畜生!」「ぶっ殺してやる!」とつぶやいてるのを見ると、彼の叫びは永遠に止まらないんだろうなと思わされます。

Y 対極的な2人ではありますが、ファンが「永ちゃん/剛が現役である限り俺たちも頑張って現役でいよう」と思える存在なのは、どちらも同じですね。

N ただ、剛はファンへの要求も厳しいんです。過酷だった富士山麓ライブの後でも「環境を整えすぎた」とボヤいてたし(笑)。

Y ここでも、予想の上を行きますね(笑)。

N 剛についていくのは本当に大変。でも、その分、倒れかけた人が強烈にパワーをもらえるカンフル剤のような存在なんです。

Y 「倒れそうなら剛を聴け!」と(笑)。それで言うと、永ちゃんは「OK、お互い、このまま行こうぜ」と肯定してくれる存在かな。

N 2人ともレジェンドである一方で、ちゃんと新作を出し続けている現役の音楽家。「過去の名曲を愛でるのもいいけど、今の自分を見てくれ」という意識があるはずだから、興味がある人は、ぜひ一度ライブに足を運んでほしいです。

Y 2人とも“本物”ですからね。一度、競演を見てみたいな。一緒にタオルを投げ上げたいですね(笑)。

※1 桜島オールナイトコンサート 2004年8月21日、鹿児島県の桜島で75000人を集め、徹夜で行われたコンサート。06年には会場跡地に記念碑も建った。

※2 富士山麓コンサート 2015年8月22日、富士山麓に10万人を集めて行った9時間半のオールナイトライブ。

※3『成りあがり』1978年に刊行された矢沢の自伝。100万部以上を売り上げる大ヒットとなった。ちなみにライターは糸井重里氏。

※4 キャロルの伝説 解散ライブ時に特殊効果用の火花がセットに引火してステージが炎上するなど、破天荒な伝説の数々がある。

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