総じて見ると、決して悪い補強ではないだろう。しかし、当初の獲得戦術はすべて後手に回ってしまった。ベストというよりは、次善の策に落ち着いたという感じがしないでもない。しかし、巨人軍OBで野球評論家の橋本清氏は、この補強が今の巨人に必要だったと力説する。

「かつてのように、他チームの4番ばかり集めるような補強より、先発やセットアッパーなど、投手陣の足りないところを補う今年の補強のほうが理にかなっています。私はベストの補強ができたのではないかと思います。特に、吉川が獲れたことが大きいですね」

 橋本氏が強調したのは、日本ハムとの間に成立した2対2のトレードで、先発左腕の吉川光夫を獲得したことだ。吉川は、2012年に最優秀防御率のタイトルを獲得し、パ・リーグMVPに輝いた投手。今シーズンも7勝6敗と優勝に貢献している。

「採算重視の日ハムらしいですよね。年俸の安い若手が育ってきた今、吉川は売り時と判断したんでしょう。まあ、巨人にとっては、“棚ぼた”のラッキーなトレードです」(前出のデスク)

 こうして見ると、投手陣の充実という側面に関しては、今年の巨人の補強は確かに的を射ている。残るは打線の補強だ。前出の橋本氏も、「FAやドラフトで獲得できなかった分を、欲を言えば、打てる外国人で補強したいところですね」

 ただし、これが難しい。近年、巨人が連れてくる外国人打者は、いま一つパッとしない。ある程度見通しが立つとすれば、現在日本で活躍している選手の“横取り”だろう。しかし、「今年契約の切れる選手ではロッテのデスパイネがいます。しかし、DH制のないセ・リーグでは守備に不安があります。それに、デスパイネはキューバの選手。移籍先はキューバの野球連盟が決定するんです。そうなると、要は年俸ですね。巨人も、良好な関係を保ってはいますが、ソフトバンクが動き出した以上、金額を吊り上げてまで獲りにいくべきかどうか……」(前出のデスク)

 主砲獲得という課題がクリアされれば、V奪回への希望も見えてくるはず。今のところ“なんとか及第点”と言えそうな巨人の大補強が“大当たり”となるかどうかは、この最後のピースが埋まるかどうかにかかっている!

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2
  3. 3