高校時代から、大谷とは自他ともに認めるライバル関係だった藤浪。今年は7勝11敗と勝ち星に恵まれなかったが、26試合169.0回を投げ、防御率3.25、176奪三振と、決して悪い数字ではない。「ある意味、藤浪は、リーグ最低のチーム打率(.245)を記録した阪神の“貧打”の犠牲者。彼ばかりを責めるのは間違いです」(前出のスポーツ紙デスク)

 コンスタントに150キロ以上の速球を投げ、多彩な変化球にも定評のある藤浪。来季、巻き返しを図るチームのエースとして、ぜひ意地を見せてほしいものだ。

 大谷、藤浪のように高卒1年目から活躍したわけではなく、4年目の2016年に大ブレイクしたのが、広島カープの鈴木誠也。彼を一躍有名にしたのが6月の対オリックス3連戦だ。サヨナラ、サヨナラ、決勝ホームランと3試合連続で試合を決める本塁打を放ち、25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献。緒方孝市監督が彼を評して言った「神ってる」は、今年の流行語大賞にノミネートされた。

 15年シーズンからロッテの正捕手となった田村龍弘も、大谷世代の一人。もともとリードには定評があったものの、15年の打率は.170と、打力のほうは芳しくなかった。

「ところが、今年は大変身。6月にパ・リーグ打者部門の月間MVPを受賞するなど“打てる捕手”へと脱皮を図り、最終的には.256の打率を記録。侍ジャパンの正捕手としても実力を期待されるほどに成長しました」(専門誌記者)

 もう一人、藤浪と同じ阪神の北條史也も見逃せない。「これまで一軍での出場機会はほとんどなく、目立ちませんでしたが、今年は“超変革”を打ち出した金本知憲監督の期待に応えて開幕から活躍。打率.273、安打数105本を記録しました。これらは高卒4年目以内の選手のものとしては決して悪くない数字です」(前同)

 出塁率はリーグ20位の.341と選球眼の良さも垣間見せ、今年大きく飛躍した北條。藤浪同様、来季の巻き返しの原動力として期待大と言える。さて、注目すべきは彼らだけではない。実は、今年10月のドラフトにかかった大学4年生の選手のほとんどは、94年生まれの「大谷世代」なのだ。

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