まずは、広島、日本ハム、巨人、ソフトバンク、ロッテの5球団が1位指名、ソフトバンクが指名権を獲得した大学ナンバーワン投手の田中正義(創価大)。「3年生だった15年7月のNPB選抜戦では、圧巻の7者連続奪三振。その時点で、プロでも通用する逸材との評価を得ていました。一時、肩を故障するまでは、12球団すべてが1位指名するともいわれていました」(スポーツ紙デスク)

 間違いなく、現時点では新人王の有力候補ナンバーワンだろう。「ただ、大学球界レベルならストレートとフォークだけで三振を稼げたものの、プロでやっていくには、スライダーかカーブをマスターする必要があるでしょうね」(ある球団のスカウト)

 その次の注目株は、1位指名に敗れた5球団が「外れ1位」に指名する前代未聞の事態を生み、最終的にロッテが指名権を獲得した佐々木千隼(桜美林大学)。首都大学リーグで菅野智之(現・巨人)に並ぶ53イニングの連続無失点を記録した、簡単に得点を許さない粘りの投球が身上だ。

 次に、ゲームメイクという点で「田中、佐々木以上」との評価を得ているのが、中日とDeNAの競合となり、中日が指名権を獲得した柳裕也(明治大)。「実は、横浜高校時代に阪神がマークしていたんですが、甲子園の出場を逃したことで阪神が興味を失い、大学に進学。その後、大学で心技体を磨き、チームを5度の優勝に導く大活躍を見せたんです」(前同)

 12歳にして父の葬儀の喪主を務めたという苦労人の柳。プロの世界に入って、かつて指名しなかった阪神を見返すことができるか?

 その阪神が1位指名したのは、大山悠輔(白鷗大)。大学では1年春からスタメン入りした強肩強打の大型三塁手で、4年生の春には連盟新記録となる1シーズン8本塁打を放ち、日米大学野球では日本代表の4番打者を任された逸材だ。北條とともに貧打の阪神を変え、藤浪の勝ち星にも貢献してくれるかもしれない。

 最後に、巨人が指名した吉川尚輝(中京学院大)。今年夏の全日本大学野球選手権で三塁打を放ち、その際にプロでもまれな三塁到達タイム11.20秒の“超速”走塁で話題になった。ちなみに、今年ドラ1で野手を指名したのは巨人と阪神だけ。この両チームにとって、打力の充実がいかに重要かがうかがえる。

 「さらに、守備も一級品。大学の先輩で広島カープの“忍者”と呼ばれる菊池涼介を連想させる、華麗かつ正確なショートの守りは、プロのスカウトも口を揃えて“うちにもあんな奴はいない”と絶賛するほどです。“球界盟主”復権を目指す高橋由伸監督の救世主となるかもしれません」(同)

 この“十勇士”以外にも同世代の選手はいるし、そこから誰が飛び出してくるかは、来季のお楽しみ。こうした新世代の選手たちが、2017年のプロ野球を面白くしてくれることだけは間違いない!

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