つまり、都知事選は“菅人脈”VS小池氏という構図だったわけだ。「菅氏は、街頭演説に立つ機会こそ少なかったものの、選挙中、夕方以降は業界団体の締めつけに奔走していました」(前同)

 菅氏は、増田氏の個人演説会で「劇場型の人に大事な都政を託すことはできない」と小池氏を激しく批判。しかし、結果は惨敗。それだけに、以降、「あの女だけは許せない!」というドス黒い怒りが渦巻いているという。その菅氏は、第二次安倍政権誕生以来、史上最長の在任期間を誇る官房長官。“菅詣で”は絶えることなく、“最強の官房長官”“ミスター自民党”とまでいわれる。

「菅氏は若い頃、板橋区の段ボール工場で働き、叩き上げで政治家になった苦労人。徹底した原理主義者でもあります。安倍政権で首相や閣僚が問題発言しても、原理原則を掲げて、それを収めてしまう能力に長けています。一方の小池氏は“女性初の都知事”と持て囃されますが、菅氏にしたら、そういうことは関係ない。すべて、国にとってプラスになるかどうかなんです」(政治評論家の有馬晴海氏)

 パフォーマンスに長けた小池氏とは、そもそもウマが合わないのみならず、「2012年の自民党総裁選で安倍氏を擁した菅氏を裏切り、小池氏が石破茂元防衛相を推して以来、“小池憎し”の思いが強い」(元自民党幹部)という。

 それでなくても、“国政の要”である菅氏にとって、“首都のトップ”というのは厄介な存在だ。「かつて石原慎太郎都知事時代、当時の小泉(純一郎)政権も、石原氏が政権の政策に辛らつな発言をすると、それだけで世論がなびき、政権の支持率に影響したほどでした」(前出の菅氏に近い関係筋)

 小池氏が定例会見で安倍政権の政策にコメントする機会が増えてくると、安倍政権の支持率に影響が出る恐れもある。「ボスの安倍首相は今のところ、高い支持率を持つ小池氏と協調路線を取っています。しかし、菅氏にとっては、より現実的に、小池氏を潰しておかなくてはいけない決定的な理由があるんです」(前同)

 それが、11月30日に法案が審議入りしたカジノ問題だという。別の菅氏周辺から、こんな声が洩れてくる。「カジノ構想はアベノミクスの中心になりえる政策。もともと石原都政時代から、お台場にカジノを作る構想がありました。ところが、舛添要一前都知事が任期途中にカジノ反対を訴え、その予定地(都有地)を民間企業にリース。構想は一気に萎んでしまうんです」 そこで代替地として浮上してきたのが、菅氏の地元・神奈川県だという。

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