「横浜の山下埠頭地区に京浜急行も参入して、カジノを中心とするIR(総合型リゾート)を建設する構想があります。カジノ法案が成立したら、大阪(夢洲)と横浜で日本初のカジノが誕生する運びとなっていました」(IR議連関係者)

 この構想を実現するには、まず、横浜のライバルである東京のトップに、意思疎通できる人材を配置しておく必要がある。「だからこそ、“最強官房長官”と呼ばれる人が都知事選で裏方に徹し、周囲の人たちが驚くほど汗を流したのです。まさに、執念のひと言に尽きます。で、その背景にはカジノ構想があると、もっぱらでした」(前出の菅氏に近い関係筋)

 ところが、小池知事誕生後、“第三の候補地”が急浮上する。それが豊洲だった。築地中央卸売市場の移転予定地だが、新市場の施設内に盛り土がなされていない問題が発覚し、移転は早くて1年後になった。「小池知事は、そもそもカジノ推進派。側近からは、豊洲への移転そのものを取り止め、豊洲新市場跡地をカジノにしたらどうかという案も出されているようです」(都庁関係者)

 一発逆転で“豊洲カジノ”が誕生すれば、「首都圏に2か所もカジノは必要ない」(カジノ反対派議員)という理由から、実現寸前だった横浜カジノ構想が吹っ飛びかねない。「小池氏が高い支持率をキープするためには、新たな政策を矢継ぎ早に発表する必要があります。豊洲新市場への移転が先延ばしになった事実そのものが、次のカードとなります。つまり、移転が停滞しているように見えることこそ、“豊洲カジノ案はまだ生きている”という菅氏への“宣戦布告”になるわけです」(前同)

 もはや、菅氏にとっては一刻の猶予も許されないだろう。そこで、権謀術数渦巻く永田町から聞こえてくるのが、菅氏による小池氏の「抹殺指令」だという。「東京五輪の会場問題で森会長に押し込まれ、長沼ボート場問題で逆風が吹き始めた今、菅氏が荒れ狂う“牝馬”の手綱を握り、まずは意のままに動くよう飼いならそうとする。それがポシャれば、政治的に“抹殺”する腹だというんです」(官邸筋)

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