「3億円どころか倍増の4億円でもおかしくはない」というのが球界関係者の一致した見方だった。それが蓋を開けてみれば、わずか7000万円のアップ。前出のスポーツ紙デスクは、「不満の表情を浮かべてもおかしくないのに、大谷は笑顔で会見。これはメジャー行き容認の代わりに、年俸は我慢してくれという球団と、早くメジャーに行きたい大谷の利害が一致したゆえでしょう」とし、こう続ける。

「このまま日本にいれば、5億、6億はいうに及ばず、毎年、日本球界最高年俸を更新し続けてもおかしくない。日ハムは、それに耐えられないんです」

 日ハムは、年俸査定に独自の指数を用いるメジャーのようなシステムを導入しており、チームの総年俸を一定範囲内に収める方針を貫いてきたという。それゆえ、たとえダルビッシュ有のようなスター選手でも、年俸が高くなれば惜しげもなく放出してきた。大谷とて例外ではないというのだ。

 今回、メジャーリーグで新労使協定が交わされたが、所属球団(日本ハム)が移籍先のメジャー球団から獲得する譲渡金(上限2000万ドル=23億円超)は、以前と変わらず支払われる。日ハムとしては、決して悪い話ではないのだ。

 一方、大谷が25歳までは日本で高額年俸を受け取り、それから移籍しても遅くないと考えれば、メジャー行きは3年先送りされる。しかし、何より大谷本人は、「金の多寡ではなく、レベルの高い環境でプレーすることが何より重要だと考えている」(大谷に近い関係者)という。

 大リーグ評論家の福島良一氏は、「大谷は、たとえ1年目はマイナー契約でも、一刻も早くメジャーに入ったほうがいい」と進言する。「現在、メジャーで活躍する投手の年齢は、どんどん若くなっており、20代前半が主力になっています。これまで日本人選手は20代後半、あるいは30を超えてから挑戦しています。ですが、大谷がメジャーでやっていこうとするなら、それでは遅いんです」(前同)

 実は1年目はマイナースタートだが、力を認められ、2年目に高額の契約することは可能で、1年目は低くても十分、辻褄は合う。「移籍6年後にはメジャーのFA権を取得できます。来オフ移籍すれば、FA取得時点で大谷はまだ20代。メジャー始まって以来の超大型契約も十分可能です。目先の契約金や年俸にこだわるより、野球人生をトータルに考えたら、早期移籍が最も理に適っているはずです」(同)

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