他の追随を許さない金沢。工場に加えて寿司もすごい。「寒ブリ、エビ、ノドグロ……どれも鮮度バツグン。というのも、港と市街地が近いから、揚げてすぐの魚が食べられるんだ。市内の回転寿司屋は大繁盛。これを目当てに来る観光客も少なくないよ」(地方紙記者)

 ウニとイクラ、いただきます……その濃厚な味に思わず、頬も緩む。ウマい! むろん、地元民も回転寿司が大好きだという。「石川県の県民性では、ネクタイに金をかける、ROLEXの時計がよく売れる……など総じて見栄っ張り。回転寿司でも、1皿500円が相場の高級魚・ノドグロが大人気」(矢野氏)

 ここに興味深いデータがある。全国47都道府県の県庁所在地と政令指定都市全52か所で「寿司に使う平均金額」ランキングだ。結果は1位が宇都宮、2位が金沢、3位が岐阜、4位が名古屋、5位が福井と、1位と3位が内陸地。8位には甲府(山梨)も顔を出し、内陸では、むしろ寿司!?

「“一番おいしい海の幸を食べているのは内陸の人”とよく言いますが、海を見る機会が少ない分、魚介類への憧れも強いんです。特に、山梨県のまぐろ消費量は静岡県に次いで2位だといいます」(前同)

 さて、お次は東京だ。人気店がひしめく首都圏で、「近年、2つの注目すべき傾向が見られます」と言うのは、『B級グルメこの町が美味い!』(ちくま文庫)などの著書もある元祖B級グルメライターの田沢竜次氏だ。

「回転寿司店は、牛丼やプリンなどサイドメニューを充実させてファミレス化、はたまたリッチな高級化という“二極化”が進む中、安くておいしい店が増えてきたことが、まず一つ挙げられます。店頭に随時、産地直送のオススメメニューを掲げる『もり一』の試みは注目です。もう一つは、味も仕事も一流といわれる北海道の有力チェーンが、満を持して東京に進出して来たこと。市場に、大きな刺激を与えています」(田沢氏)

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