他方、中京地区の愛知県名古屋市も要チェック。前述したように、寿司に使う金額は全国4位だが、「名古屋=寿司」のイメージはない。どういうことなのか。「名古屋はトヨタ関係の会社で働く人が多く、給料が高水準で経済的に余裕がある。それに、名古屋の人は地元を離れる率も低く、三世代が近所に住むなど、親戚間の交流が盛んです。ハレの日には集まって寿司を食べるので、この結果となったんでしょう」(矢野氏)

 その西、回転寿司の発祥の地である大阪、ひいては近畿地方も独自のカルチャーを育んできたという。「関西の回転寿司のベルトコンベアは、関東より回るスピードが圧倒的に早いんです。関西人はせっかちだから……という説もあるけど、どうやら、西日本と東日本の周波数の違いから来ている模様。50ヘルツと60ヘルツの違いです。スシローなどは、各店で回るスピードが調整できるベルトコンベアを導入しているみたいですけどね」(前出のグルメ誌記者)

 加えて言えば、「近畿地方の回転寿司店では、ポン酢が常備されている店が多い。関西人にとって、ポン酢はソウルフード。カレイやハモをポン酢で食べると、実に味が引き立ちますね。こちらでは、白身魚をよく食べる文化があることも一因と言えそうです」(前出の田沢氏) サッパリおいしく食べるのだ。さらに言えば、「関西では、回転寿司に合わせる麺は、うどん。そばじゃなくて、うどんです」(在阪記者) チュルルルッと、いただきます!

 忘れてはいけないのは、東北。宮城県の仙台市から塩釜市にかけての道路は「寿司街道」と呼ばれる寿司の黄金地帯だ。「牡蠣の軍艦巻きは、東北で非常に多い。松島が名産地だからでしょう」(タウン誌記者)

 九州地方にも特色あり。大分では、関サバ、関アジをよく食べるというが、その嗜み方に注目だ。「九州では、甘口の醤油が支持されています。それを考慮してか、『はま寿司』では、全国の店舗で甘口の刺身醤油をはじめ、各地方の醤油、全5種類を常備しています」(田沢氏) 全部、味わいたい!

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4