また、『健康寿命をとことん延ばす――「食」の決めワザ100』(宝島社新書)など、健康と食に関する多くの著書がある食文化史研究家の永山久夫氏も、食材を丸ごと食べるのが長寿効果の高い食べ方だと考える一人だ。

 ちなみに現在、都道府県別の平均寿命のトップは長野県。一方、健康寿命で1位の座にいるのが山梨県だ。この2県には、“食の共通点”があり、それは魚を丸ごと食べる機会が多いということだ。

「両県とも海がなく、ひと昔前までは川魚が主体でした。加えて、アユやドジョウ、フナなどは丸ごと食べます。山に囲まれた両県では、今もこうした伝統文化が守られている面もあると思います」(永山氏)

 そして、この考え方は、魚や肉だけでなく、野菜にも当てはまるという。可能な限り、丸ごとすべて食べることが、健康寿命を延ばすというわけだ。

 また、永山氏と平良氏が「健康に導く」と声を揃えるのが、野菜と紫外線との関係である。緯度が低い沖縄や海抜が高い長野・山梨では、紫外線が他県よりも強くなる。この環境で育つ野菜は、その紫外線に対抗すべく抗酸化作用が強くなり、結果、この3県の野菜を食べることが、そのまま体の抗酸化作用を強めるという。

 加えて、旬の物を食べることも健康に直結するという。同じ野菜でも、旬かそうではないかで、ビタミン含有量などに圧倒的な差が出るのだ。また、食材のみならず、「発酵食品」も長寿のカギ。

 現在85歳の永山氏自身も納豆を毎日欠かさず食べ、2013年、81歳という歴史上、最高年齢でのエベレスト登頂に成功した、『攻める健康法』(双葉社)の著書もある三浦雄一郎氏(84)も、元気の秘訣として、「キムチ、納豆、ヨーグルトなど発酵食品を、毎朝必ず食べる」と話すように、発酵食品は欠かせないようだ。

 ただし、永山氏は次のように注意を促す。「チーズ、ヨーグルトなど、欧米の発酵食品は脂肪が多く高カロリーです。一方、日本の発酵食品は植物性の物が多く、ビタミンC、カロテン、フラボノイドなど抗酸化作用を持つ栄養素が豊富。ぜひ、こちらを召し上がっていただきたい」

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