なんと、安倍首相が全幅の信頼を置く麻生氏が、まさかの“安倍降ろし”の首謀者だというのか……。「森友学園問題で疑惑の焦点となっている近畿財務局を管掌する財務相でありながら、国会審議の際、野党から厳しい追及を受ける安倍首相の横で終始、にやけ顔でしたからね。もしや、“安倍がコケてくれれば、オレの出番もある”と見ているのかも」(夕刊紙記者)

 しかし、ある首相番記者は、これを言下に否定する。「麻生さんには、安倍政権を倒そうという意思はゼロですよ。先日、日米首脳会談のため渡米した際、2人で同じ政府専用機に乗り込むほど仲良しですからね」

 トランプ政権の要請で首相に同行した麻生氏だが、このとき、政府専用機とは別に、麻生氏が乗るための、貴賓室付きの予備機も用意されていた。が、麻生氏は、「オレは安倍と同じ機に乗る」と譲らなかったという。

「万一、事故でもあった際に2トップが共倒れになってはマズいので、危機管理上、通常は分乗が当たり前。しかし、制止する声にも“もしオレと安倍が死んだら菅(官房長官)の天下になるんだから、いいじゃねえか!”とうそぶいたとか。アレを見て、2人の蜜月を疑う者はいませんよ」(前同)

 では、麻生氏の活発な動きの狙いは何なのか? ある自民党の長老に聞くと、「ズバリ、大宏池会構想の実現だ」という。

 宏池会(岸田派)とは、麻生氏の祖父・吉田茂元首相の右腕だった池田勇人元首相が設立した、自民党最古の派閥。輩出した総理大臣を見ても、池田勇人、大平正芳、鈴木善幸、宮澤喜一ら、戦後日本の礎を築いた実務派がそろう名門だ。

 だが、故・加藤紘一元幹事長が会長の時代に、それを不服とする河野派(現在の麻生派の源流)が離脱。その後、加藤氏が森喜朗首相(当時)の不信任案に絡んで起こした“加藤の乱”で、さらに分裂。現在、その流れを汲む岸田派、麻生派、谷垣グループの3派に分かれている。

「2000年代に入ってからの自民党は、森-小泉-安倍(第1次)-福田と、8年の長きにわたって、以前は非主流派だった清和会(岸信介元首相の流れを汲む派閥。現在は細田派)に支配されてきました。宏池会結成60周年となる今年、旧宏池会の流れを汲む3派をもう一度大同団結させ、清和会と拮抗する勢力を築こうとしているんです」(全国紙政治部記者)

 清和会は小泉純一郎元首相によって隆盛を極め、現在でも所属議員99人を誇る。

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