戦闘糧食2型は、缶ではなくビニールパックに入ったレトルト食品。保存期間が短くなるものの、1型では25分かかった湯せんが10分で済む、メニューも中華丼や筑前煮、チキンステーキなど30種類に増えている――といった理由で、現場の評判は上々だ。「平成4年に自衛隊がPKO活動でカンボジアに派遣された際、同じようにやって来た各国部隊の息抜きにと戦闘糧食のコンテスト、いわば“ミリメシ・ワールドカップ”が開かれ、そこでも自衛隊の2型は優勝を飾りました」(江田氏)

 それだけクオリティの高い日本のミリメシだが、実は、ここ数年はミリタリーマニアにとどまらず、一般消費者の間でも大ブーム。「防災意識の高まりもありますが、“軍用食”のイメージからは大きくかけ離れたクオリティの高さが一番の理由でしょう。実際、中華丼や牛丼、サバ味噌など、そのへんの食堂の味と変わらない質の高さです。ちょっとした非日常感が味わえるのも、人気の理由でしょうね」(モノ雑誌編集者)

 実際に自衛隊に納入している戦闘糧食は販売できないが、各社がパッケージを一般向けふうにデザインし直したものを購入できるので、自衛隊とまったく同じ味が体験できるのだ。「防災セットと題してセット販売もしており、非常時の保存食になるというイメージを打ち出そうとしています。ネットでも購入できるし、同社のホームページからも購入問い合わせができるようですね」(前同)

 昨年末に放送されたテレビ朝日系の『じゅん散歩』番組内でも、高田純次が自衛隊グッズ店で「武蔵富装」という会社のミリメシ「ウインナーカレー」を試食。「これは全然、いけるよ」と、味にも太鼓判を押した。

 注目度は高まる一方のミリメシだが、ちょっとした事件も起きている。「自衛隊の戦闘糧食は、支給されたものが余っても、返却はせず各々で処分することになっているんです。それをいいことに、昨年11月までに、当時、自衛隊の陸曹長だった男が自分の分のみならず同僚の分まで“親戚にあげたい”と言って集め、1個2000~3000円でネットで転売。販売個数はなんと1万点近く、売り上げも248万円になったそうです。事件後、当然、この男性は懲戒免職となりましたが、それだけ需要もあったということ。稲田朋美防衛大臣も、この件を受けての会見で“一般に販売することも検討したい”と、思わず述べたほどです」(前同)

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