なぜ、“小池新党”を意識するのか。「健全な第三極を謳ってきた日本維新の会そのものが、小池新党のあおりで埋没する可能性が生じるからです」(前出の鈴木氏)

 出てくる芽を摘みたい、との狙いだけではない。「当然、今度の都議選で“反小池”路線を打ち出して、全面戦争の様相を呈している自民党・菅義偉官房長官への目配せもあるでしょう。安倍晋三首相は、小池の言動にも理解があるとみられてきましたが、近頃はそうでもない、という話も聞こえてきています」(自民党関係者)

 結託を強くする、維新=自民の反小池連合。「橋下氏が豊洲移転の遅れを批判するのも、少なからず、そこには維新の会を援護しようという意思があると見ていいでしょう」(前出の有馬氏)

 加えて、小池都政を支えるべく、都政改革本部の特別顧問を務める上山信一慶応大学教授の存在もある。「彼は、大阪市特別顧問も兼任している。いわば、橋下氏の元ブレーンで、今も2人は頻繁に連絡を取り合っているようです。しかも、上山氏は豊洲移転推進派の一人。小池知事から見れば、橋下氏が同じ考えの上山氏を利用して、都庁の内部を豊洲移転に誘導しているように映るはず」(都庁関係者)

 というのも、「小池知事が豊洲市場への移転を即座に決められないのは、都庁内が“豊洲移転派”“築地存置派”に二分されているからです」(前同)

 分裂は、ここでも起きていた。“豊洲派”の代表が上山氏、“築地派”の急先鋒が「市場問題プロジェクトチーム」(PT)座長の小島敏郎青山学院大教授で、両者の勢力は拮抗。「小島氏は3月末、築地を移転せず、現地で改修する案を発表。工事費500~800億円をかけ、築地市場を営業しながら、できるところから改修工事を行おうという計画です」(同)

 小池知事もこの提案を受け、「東京駅(復元工事)などのように営業しながら徐々に変えていった例がある」と、“築地存置案”に賛同したかに見えたが、「これに、都庁内の豊洲派が猛反発。築地市場の建物のうち、発がん性物質のアスベストを使っている部分が、全体の約16%も残っているからです。改修工事の際に、アスベストが飛散する恐れがあります」(前出のベテラン政治記者)

 豊洲の地下には基準値の100倍のベンゼンがあり、築地の建物には発がん性物質のアスベストが残る。そう簡単に割り切った結論が出せるはずもないが、決断が遅れれば、優柔不断な知事というレッテルを貼りたい反小池勢の思うツボだ。

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