各社、個性や魅力をアピールせんと、新たな設備投資やサイドメニューの開発に取り組んできているが、「多彩なサイドメニューは客にとってはうれしい魅力ですが、寿司以外のメニューでは店員の作業工程が増えるため、それを補う人員が必要になります。言い換えれば、サイドメニューの充実には、多大な人件費が必要になるんです」(同)

 御三家のメニュー表を見れば、牛丼、焼肉丼、天丼といった丼物から、鯛だし塩ラーメン、かけうどんなどの麺類まで充実。さらに、スイーツは洋菓子店顔負けのラインナップで、しまいには香り高いコーヒーまで揃えているのだ。また、健全な経営状態の飲食店の原価率は通常、20~30%といわれているが、“安い美味い”を追求する回転寿司チェーン各社の原価率は、40~50%とかなり高いことも苦境の一因となっているようだ。

「輸入食材が多い分、為替の影響を受けやすいのもマイナス要因の一つ。低価格を実現するために輸入食材を積極活用していたかっぱ寿司は、円安への転換で食材価格の高騰をモロに食らってしまいました。とはいえ、すでに浸透した値段を簡単に上げることはできない。これでは原価率が上がるばかりですから、苦しくなるのも当然です」(飲食店コンサルタント)

 また他の飲食店に比べて、ベルトコンベアや寿司ロボットなど、初期投資額が大きいのも要因となる。1店舗当たりの開店費用は、数千万円から1億円も必要とされており、初期の設備投資が経営を圧迫しているケースも多いのだという。

 では今後、回転寿司はどうなってしまうのか。回転寿司をこよなく愛する“回転寿司の応援団長”ことB級グルメ王・柳生九兵衛氏は、「数字上は確かにシビアな現実もありますが、まだまだ伸びしろが十分にあると思います」と熱く語り、次のように続ける。

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