がん死亡率、47都道府県「驚きの地域格差」の画像
がん死亡率、47都道府県「驚きの地域格差」の画像

 シニアにとって無視できないこの病。なんと、住んでいる場所と深い因果関係があるという。徹底リサーチすると!?

 今や、日本人の死因のトップとなった「がん」。国民の死亡総数のうち、なんと3割弱を占めるというこの疾病だが、地域によって死亡率が違うというその順位を最終ページの表で示したので、ご覧いただきたい。国立がん研究所の最新データベースから、人口10万人当たりのがん死亡者数を抽出し、全体および部位別に死亡率の順位をつけたのが同表だ。地域によって差があるのが、分かるだろうか。

 健康雑誌記者が語る。「全国平均を100とした場合、がん全体では死亡率ワースト1の青森県の比率は120以上。一方、47位(最下位)の長野県は約80と、実に1.5倍にもなるのです」

 肺、大腸、胃、膵臓、肝臓の5大がん別に見ると、この差はもっと顕著で、「たとえば肝臓がんの場合、ワースト1の青森県と、47位の滋賀県とでは実に約2.2倍。胃がんは、秋田県と熊本県で同じく約2.2倍にもなります」(前同)

 肝臓や胃ほどではないが、大腸では約1.8倍、肺では約1.7倍、膵臓では約1.6倍と、やはり歴然とした差がある。なぜ、これほどの地域格差が出るのだろうか。「昨年6月号の『中央公論』誌に掲載されたルポによると、地域格差が出る最大の原因は、全国に350か所ある『がん診療拠点病院』が、大都市や県庁所在地などに集中するためだということです。それ以外の地域に住む患者は、一定の水準を満たすがん治療が受けられず、死亡率が高くなるというのです」(同)

 同ルポでは、誰もが受診できるように拠点病院の早急な拡充を提言している。医療ジャーナリストの牧潤二氏が補足する。「ざっくり言えば、現在、かかりたくても拠点病院にかかれない空白地域は、全国で2~3割はあります。北海道や青森県、秋田県、鳥取県など、人口が密集していない地域の死亡率が高い理由の一つは、これでしょうね」

 とはいえ、大都市を抱える地域の中でも、ワースト入りしているところもある。これは、なぜだろうか。「大都市ならではの経済格差が原因かもしれません。残念ながら、いくら拠点病院が近くにあっても、なかなか病院にかかれない貧困層もいますから」(前同)

 なお、最近の研究によると、貧困層は喫煙傾向が強いために肺がんになるリスクが高く、また食事のバランスを考えない傾向も強いので、大腸がんにかかる可能性も高いのだという。

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