さて、ここまで死亡率の高い都道府県ばかりに目を向けてきたが、逆に低い地域にも触れてみたい。がん全体の死亡率が最低の47位なのが、長野県。全国平均(100)との比率は80弱で、90前後の滋賀県(46位)および福井県(45位)と比べても、飛び抜けて優秀だ。

「長野県はかつて、脳卒中になる患者が多く、寝たきり老人も多かった。それで県民を挙げて減塩運動に取り組んだのです。また、長野は高原野菜の特産地で、一人当たりの野菜摂取量は全国一です。これが胃がんや肝臓がんの予防に、功を奏したのでしょう」(前出の牧氏)

 その結果、長野県は今や都道府県別の平均寿命でも、全国1位なのだ。これに対し、かつて長寿1位だった沖縄県は、がん全体で97.6と、全国平均よりちょっといいだけの位置にランクダウン。大腸がんでワースト2位に落ちたのが、凋落の原因だ。「厚労省データによると、沖縄県は肥満者の割合が45.2%と、全国で1位なのです。大腸がんの大きな要因の一つは食の欧米化と見られていますが、それは沖縄で顕著で、肥満者が多いのも、その結果かも」(健康雑誌記者)

 なお、岡田博士によれば、「さらに多大な時間とコストをかけて、正確なデータを収集しないと、科学的根拠のある地域格差は分からない」のだという。ともあれ、がんで寿命を縮めたくなかったら、次の5つのことを守るべきだろう。

・偏食しない
・塩分を摂り過ぎない
・喫煙は控える
・飲み過ぎない
・適度な運動をする

 47都道府県に共通する鉄則で、がんを防いで健康を心がけたい。

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