なお、今回のデータでは牛のミンチは0%だったが、前年以前は少量ではあるが検出されている。牛だけは安全ということはないので、しっかり火を通してから食べるようにしよう。「本当に危ないのは、野菜や肉などの“食材”ではなく、調理法や保管法。それ次第で、一発で食中毒になる食品もあります」(保健局職員)

 それが、私たちが日常的にやりがちな「カレーの作り置き」だという。「カレー鍋を常温で一晩置いておくと、死滅しなかった一部の耐熱性菌(ウェルシュ菌、セレウス菌など)が増殖するのです。耐性菌は、むしろカレーの鍋底のような嫌気性(空気がない)環境を好むので、一気に増えます。その結果として出された毒素は、たとえ100℃で熱しても消えません」(前同) 夏場のカレーは、必ず冷蔵庫で保管しよう。

 加えて、カツ丼、親子丼などの“卵とじ料理”も、「卵の殻には、目には見えないサルモネラ菌を含んだ鶏糞が付着していて、卵を割るとき、卵の中身に入りがちです。卵とじ料理の場合、半熟にするために60℃ほどで加熱することが多いのですが、これが菌にとって好都合。死なないどころか、大増殖するのです」(食品コンサルタント)

 だが、かように食材や調理法を知っていても、出向く“店”がダメなら何の意味もない。そこで、店を選ぶポイントを5つ紹介しよう。
○従業員の制服が汚れていないか
○卓上の調味料入れにホコリが溜まっていないか
○メニューの扱いがぞんざいで、汚れていないか
○客用トイレが清潔か
○食器の扱いが雑で、ヒビが入っていないか
 この中で1点でも該当する店は、決してオススメできない。

 最後に、万が一、食中毒にかかったと思われる場合の対処法を伝授しよう。下痢、腹痛、嘔吐、発熱が食中毒の典型的な症状。下痢や腹痛には下痢止めなどの一般薬が楽と思うかもしれないが、それは間違い! 何もせず、速やかに医師の診断を受けるのが“ベスト”だという。

「薬は、無理に症状を抑えるものですから、免疫力を低下させ、治りを遅くしてしまいます。重症の場合はすぐに救急車を呼ぶべきですが、一般的な食中毒は数日もすれば自然と収まります。病院でやれることは、点滴ぐらい。そして、嘔吐が収まるまで食事をせず、水を小まめに飲むよう指導するくらいですが、そうした安静が治癒の一助になることと思います。お疲れ気味の方にとって一番の食中毒対策は、“除菌”以上に、しっかり睡眠を取り、弱った自己免疫力を回復させることです」(渡会院長)

 きたる夏。健やかに楽しみましょう!

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