一方のロシアも、8月下旬から港湾使用料の未払いを理由に、北朝鮮の貨客船「万景峰号」のウラジオストク入港を拒否している最中。「水爆実験は、ロシアに対する、この件の当てつけという意味もある」(前同)という。

「ミサイル連射と水爆実験は、さすがにロシアにとっても想定外だったようで、強い言葉を使って北朝鮮を批判しています。今こそ、日本がロシアに働きかける好機でしょうね。北朝鮮問題を短期的に解決する方法は今のところ、ありません。経済制裁は少しずつボディブローのように効いているはずなので、日本としては、地道に圧力を加えていくという正攻法でいくしかないでしょう。どこまで圧力をかけたらいいのか、さじ加減は難しい。石油の禁輸は確かに大きい手ですが、いきなりやると、かえって暴発しかねません。いずれにしても、この問題解決には各国の協調と地道な努力が必要です」

■北方領土での共同経済活動をどうするか…日露会談の機会は何度もある

 その鍵を握るロシアと、今後にわたって最も頻繁に首脳会談を行うのは、他ならぬ日本だ。「9月7日の東方経済フォーラムに続き、11月にはベトナムのダナンでAPEC(アジア太平洋経済協力機構)の首脳会談が開かれます。そこでまた、日露会談の機会があるでしょう。現在、北方領土での共同経済活動を具体的にどうするのか、メニューの絞り込みを行っていますから、機会はまだ何度もあるわけです。焦らず、米国の動向も注視しながら、経済協力をカードとしてロシアと対話していくことが肝要です」

 日本がロシアを動かし、そのロシアが北朝鮮を動かす――。そのためには、安倍首相の対ロシア戦略の舵取りが非常に重要になってくる。緊張の続く極東情勢から、しばらくは目が離せなさそうだ。

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