■ロッテの金田正一監督に顔面を蹴られ…

 金村氏は、他にも多くの乱闘を目の当たりにしてきた。特に印象的だったのは、91年5月19日の近鉄-ロッテ(オリオンズ)戦だという。近鉄のジム・トレーバーが園川一美から死球を受けると、ヘルメットを投げ捨て猛ダッシュ。逃げる園川をライトまで追いかけたのだ。

 一度はベンチに戻るも、怒りが再燃。またもやロッテベンチにダッシュするのだが、途中で転んでしまう。「そこで、ロッテの金田正一監督に顔面を蹴られたんです。これに怒りが収まらず、試合後も金田監督のホテルに行くって言っていたんですから。金田監督も、その日は出歩かずに、ルームサービスで食事していたそうですよ」(金村氏) “天皇・金田”も、さすがにビビった!?

■外国人に立ち向かった山崎武司

 危険球にキレて、外国人に立ち向かったのが中日時代の山崎武司だ。96年5月1日の巨人-中日戦。巨人のバルビーノ・ガルベスが投じたストレートは、山崎の頭部を直撃しそうな危険球だった。山崎はバットを放り投げてマウンドに向かい、ガルベスもグラブを外す。両軍ベンチから選手が一斉に飛び出し、大乱闘に発展した。近鉄から中日に移籍していた金村氏も、この輪の中にいた。「ガルベスが、わざと投げましたから。僕は素振りしてたので、よく分からないままバットを持っていっちゃって。罰金10万円ですよ。翌日も巨人戦だったんですが、ヘッドコーチの島野育夫さんは手袋に画びょうを刺して、やり返すって言ってましたね」(金村氏)

■長嶋茂雄監督が責任を取って頭を丸刈りに

 この騒動を起こしたガルベスは、その後、プロ野球史に残る暴挙に出た。98年7月31日の対阪神戦、先発したガルベスは、球審の判定に苛立っていた。巨人の長嶋茂雄監督が交代を告げ、ベンチに戻る途中、審判に対してボールを投げつけたのだった。「それも物凄い剛速球。140キロ以上は出ていた。誰にも当たらなかったけど、“紳士たれ”という巨人にとっては、あるまじき行為。この年、ガルベスは出場停止になり、長嶋さんは責任を取って頭を丸刈りにしました」(巨人担当記者) 長嶋氏の頭を刈らせたのは、後にも先にもガルベスだけだったかもしれない。

■清原和博がヒップアタック!

 乱闘では、パンチやキック以外にも、さまざまな必殺技が生まれる。西武時代の清原和博の乱闘といえば、89年9月23日の対ロッテ戦だ。平沼定晴に死球を受けた清原は、バットを放り投げて、平沼にヒップアタックをかましたのだ。「その前の打席で満塁本塁打を打っていたから、わざとだと思ったんでしょうね。ただ、清原は翌日の試合前に、平沼のロッカールームを訪れて謝ったんです。村田兆治や山本功児が怖い顔でいたから、清原は涙ぐんだそうです。巨人時代は番長といわれていましたが、心根は繊細なんですよね」(西武担当記者)

  1. 1
  2. 2
  3. 3