清宮幸太郎「プロ野球入り決断」そのウラ側の画像
清宮幸太郎「プロ野球入り決断」そのウラ側の画像

 高校通算111本塁打の怪物スラッガーがNPB殴り込みを宣言。野球界の未来を担う若武者が心の奥底に秘めた“ホンネ”に迫る――。

■早稲田実業の先輩・王貞治に憧れ…

 プロ入りか大学進学か、これまで結論を先送りにしてきた高校通算111本塁打スラッガー、早稲田実業の清宮幸太郎内野手が、9月25日、ついにプロ志望届を提出した。同23日に早実で記者会見に臨んだ清宮は、「大学へ行くにしろ、自分の夢はプロ野球選手。野球に集中できる環境ということでプロを選んだ。(憧れの選手は)早実の先輩である王貞治さん。(王さんの本塁打記録)868本を目指せるような選手になりたい」と力強く明言した。

 野球評論家の黒江透修氏は、清宮のプロ入りを高く評価する。「メジャーに行くのが最終的な夢だとしても、いきなりアメリカに行っても絶対にうまくいかない。まずは日本の球団でやることに決めたのは、実にいい決断だと思います」

 とはいえ、清宮は最初からプロ一本に絞っていたわけではない。「記者会見で本人が語っていたように、そもそも清宮は早大に入るために早稲田実業に入学したという経緯がある」(早大関係者)

■早稲田大学進学も有力視されていたが…

 しかし、15年夏の甲子園に1年生で出場し、2本の本塁打を放って高校野球のスターになって以降、進路については清宮家の中でも意見が分かれてきた。「慶應大学ゴルフ部で主将まで務めた母・幸世さんは終始一貫、大学進学を主張していたといいます。早稲田大学のラグビー部の主将を務めた父の克幸さんは、息子の進学とプロ行き、どちらを推すか揺れていたそうです」(前同)

 克幸氏の同級生で友人の元ロッテの小宮山悟氏も、「進学したほうがいい」とアドバイスをし、早大から克幸さんへの直接のアプローチもあったといわれる。「この夏、早大関係者が集まる会があり、出席していた克幸さんは会の途中に別室に呼ばれ、大学幹部から“息子さんを進学させてくれ”と嘆願されたそうです。ただ、克幸さんは明言を避けたそうです」(同)

■東京オリンピックで侍ジャパンのメンバーになる目標も…

 また、清宮はプロ入りの他に2020年東京五輪出場という、もう一つの目標を持っていた。「プロに入り侍ジャパンのメンバーになるには、球界のトップに上りつめなければならず現実的には難しい。そこで、東京五輪に携わる関係者の一人が、大学生の清宮を侍ジャパンの“アマチュア枠”に送り込み、五輪を盛り上げようと目論んだんです。その人物も、早大進学を強く推していました」(スポーツ紙デスク)

 そうしたこともあって、プロ入り表明直前まで、「清宮は進学で間違いない」という説がアマチュア野球界では流れていたという。だが、スポーツライターは、「清宮君の中では早くから決まっていたと思います」と言うのだ。「今夏、西東京大会の決勝で東海大菅生の投手に抑えられ、チームが敗れて甲子園に出場できなかったときに心は決まったのでは。それが、後のU-18W杯のカナダ遠征で、より強固になったのではないかと思うんです」(前同)

■甲子園に出場できず、U-18ワールドカップで実力を思い知らされた

 カナダでのW杯では、2本の本塁打は放ったものの、打率は.219と低迷。外国人投手の手元で微妙に変化する球に対応できず、現時点での実力を思い知らされたのだ。「会見で“夢はプロ野球選手”と語ったように、いずれプロに行くのならば、実力の劣る大学野球よりも、厳しい環境で、より早く成長ができるプロを選択したのは当然だと思います。これまでプロ入りをなかなか明言できなかったのは、早大進学を勧める多くの大人に気を遣ってのことではないでしょうか」(同)

 さて、清宮のプロ宣言で色めき立っているのが各球団のスカウトたち。これまでのドラフト複数指名記録は野茂英雄と小池秀郎の8球団だが、清宮はこれを上回るともっぱらなのだ。清宮指名が確実視される球団は、清宮の憧れの人・王球団会長が「欲しい」と明言したソフトバンクや、プロ入り宣言から30分で1位指名宣言をした阪神。阪神は、「父・克幸さんが大ファンで、清宮は自宅の地下練習場で阪神のマスコットバットで打撃練習をしていた」(同)というから、もしかしたら相思相愛なのかもしれない。

■ドラフト会議で11球団が指名する可能性

 前出のデスクは、「即戦力の左投手、あるいは広陵の中村奨成捕手にターゲットを絞っている広島を除く、最大11球団が指名する可能性がある」と言う。清宮自身は「12球団、指名されれば、どこにでも行く」と公言しているものの、「それは建前でしょう。実際は、育てるのが下手な球団や、出場機会のない球団には行きたくないというのが本音。具体的には、“中日はちょっと……”と言っている、という話が漏れ伝わってきます」(前同)

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