プロ野球「清宮ドラフト」、逸材たちの行方を“3賢人”が占う!の画像
プロ野球「清宮ドラフト」、逸材たちの行方を“3賢人”が占う!の画像

 選りすぐりの若武者たちの中で、一際輝く超新星。この男を中心にオフと来年の球界は回る――その、宿命のくじを引くのははたして!?

■怪物スラッガー・清宮幸太郎が話題の中心

 日本シリーズの足音が聞こえてくる一方、移籍や戦力外通告といった話題も出て、はやストーブリーグの気配が漂い始める季節。そんな晩秋をもう一度熱くするのが、ドラフト会議だ。今年は10月26日に予定され、プロ志望届を出した高校生(106名)・大学生(105名)・社会人の有力選手が指名を待つ。

 とはいえ、話題の大半は、本塁打111本の高校記録を持つ怪物スラッガー・清宮幸太郎(18=早稲田実業)に集中。事実上の“清宮ドラフト”だ。今回は、彼の動向を軸に、本誌連載も好評なID野球の申し子・伊勢孝夫氏、V9巨人の元エースで引退後はロッテ、巨人のスカウトとして、あの落合博満を発掘した城之内邦雄氏、スポーツライターながら選手のボールを実際に受けに行って評価を下す「流しのブルペンキャッチャー」としてアマチュア球界では知らぬ者のない安倍昌彦氏の“3賢人”に話を聞き、今年のドラフトの行方を占った。

●巨人や阪神、ソフトバンクなど、指名争い大混戦

 まずは、なんと言っても清宮。現状、5~7球団が1位指名するとみられる。「欲しくない球団はないでしょう。清原和博、松井秀喜ほどではないというのが多くの見方ですが、素材はピカイチだし、集客力も見込める。とはいえ、競合は確実。巨人をはじめ、阪神、ソフトバンク、ヤクルト、日本ハムはほぼ指名確実で、楽天やロッテが手を上げる気配もあり、大混戦が予想されます」(スポーツ紙記者)

 中日も、即戦力の投手が欲しい現場に対し、絶対権力者である白井文吾オーナーが「清宮を獲れ!」と厳命したといわれ、押し切られての参戦もありうる。とすれば、8球団の大競合となる。

「初めて見るバッター。誰かに教わった匂いがしない、オリジナリティの塊」と安倍氏が絶賛すれば、伊勢氏は「見たところ、低目の球が打てへんな。そこをどう改善していくか」と注文をつける清宮。とにもかくにも話題を集めるのもスターならではだが、本人は、どの球団でもいいというわけではなさそうだ。「清宮には20代でメジャー挑戦したいという意思があるため、ポスティング移籍を認めていない巨人、阪神、ソフトバンクが指名した場合、拒否して進学もありえます」(前出のスポーツ紙記者)

 とはいえ、競合の危険を冒してでも獲りにいく価値は十分ということだろう。

■広島カープは地元・広陵高校の星、中村奨成を指名

 一方、清宮獲りレースから、いち早く降りたのが広島。早々に地元・広陵高校の星、中村奨成(18)を指名することを公表した。甲子園で大会タイ記録の6本塁打を放った中村だが、その直後のU-18ワールドカップではボロボロ。評価が急落したともいわれたが、安倍氏の見立ては違う。「城島(健司)さんや谷繁(元信)さんにも勝る、走攻守三拍子揃った逸材。U-18では本当にヘトヘトだったようなので、参考外でいいと思います。これから筋力がつけば、素晴らしい捕手になるでしょう」

 広島に入団すれば、今季のファームMVPで、高卒新人捕手として初めて一軍で安打・打点を記録した坂倉将吾とのポジション争いになるが、「2人を競わせ、適性を見て、どちらかをサードにコンバートするプランでは」(広島番記者)ともいわれる。実際、城之内氏も中村サード案について、「捕手は足にも負担が大きく、大変なポジション。中村は足も速いし肩も強いから、サードかレフトで使えば、小笠原道大みたいな大打者になるかもしれない」と可能性を指摘する。

■“高校BIG4”のうち、安田尚憲と増田珠はやや出遅れ気味

 そんな清宮、中村と並んで“高校BIG4”といわれた安田尚憲(18=履正社)と増田珠(18=横浜)は、やや出遅れ気味。「1位指名が清宮に集中しすぎて、どうしても“外れ1位の有力株”に留まりそうですね」(専門誌記者)

 とはいえ、それでも3賢人の評価は高い。「安田は、成長すれば5年目に3割近く打つ中距離打者になれるんじゃないか」(安倍氏)

「増田はフォームが良くなった。あとは振りに行くときに左足の膝が伸びてるから、もっとゆとりが持てるか。時間はかかるけど、楽しみな素材や」(伊勢氏)と、即戦力ならずとも、中長期的な育成のしがいがある選手と見ている。

  1. 1
  2. 2
  3. 3