消費税10%の余波とは?「ニッポン大増税」冷酷無情シナリオの画像
消費税10%の余波とは?「ニッポン大増税」冷酷無情シナリオの画像

 アベノミクス効果もイマイチなのに、本格的な増税が始まり、物価も上昇。そのうえ給料はカットで生活は困窮!?

■景気のブレーキとなる消費増税

「景気が良くなってくると、政府は必ず“ブレーキ”をかける。商売をやっている人からは、そんな不満が噴き出しています」と憤るのは、経済評論家の上念司氏。むろん、言うまでもなく、この“ブレーキ”とは2019年の消費増税のことだ。「仮に、消費税が今の8%の税率のままで、アベノミクスの経済効果が今までの倍の勢いで出るとしても、景気回復がようやく見えてくるのは、20年後。先のことではありますが、確実に景気後退の局面から脱せそうな今、増税をすれば最後。景気回復は、遠い先のことになってしまいます」(前同)

■衆議院議員選挙でも血税600億円を“無駄遣い”

 アベノミクス、北朝鮮、憲法改正、森友・加計問題……争点が判然とせず、最後までワケが分からぬままに終幕した10月22日の衆議院議員選挙。血税600億円が選挙費用として注がれ、“無駄遣い”という批判を浴びながら、政府はさらなる搾取を進めようとしているのだ。「2019年10月、消費税を現行の8%から10%へ引き上げる運びとなっています。2%の上昇です。年間消費額300万円の家庭であれば、単純計算で6万円の負担増。地道な節約では、なかなか太刀打ちしづらい額です」(ファイナンシャルプランナー)

●選挙戦で安倍晋三首相と小池百合子代表がガチンコ論争

 去る選挙戦でも、消費増税は“政争の具”。安倍晋三首相は、消費増税分の一部を「教育無償化などに充てる」という公約を掲げて、錦の御旗とした一方、希望の党の小池百合子代表(東京都知事)は、「実感の伴う景気回復まで消費増税は立ち止まる」と言い、公約に“増税凍結”を明記。血を血で洗うガチンコ論争に発展した。「麻生太郎財務相も加勢し、小池氏に噛みつきました。“東京以外の人が言うのはまだ分かるが、東京で(景気回復を)実感できないという小池氏の感性はおかしい”と話し、予定通り、消費増税を行うべきだと強く主張したんです。まあ彼は、“財務省の代理人”ですからね」(全国紙政治部記者)

●立憲民主党の枝野幸男代表も歯切れが悪かった

 一方、立憲民主党の枝野幸男代表も、「直ちに消費税率10%へ引き上げることはできない」と反対の意思を公約で掲げながらも、語気は意外なほどに穏やか。野党らしくない態度で、恭順な室内犬のようだった。「そもそも、この消費増税は、民主党・野田佳彦政権下の12年6月、民主党、自民党、公明党の3党がまとめた『社会保障と税の一体改革に関する合意』、いわゆる“三党合意”がベースとなっています。というわけで、当時、民主党の幹事長だった枝野氏としては、ゴリ押しで反対はしづらいんです」(前同)

■消費税が10%になれば、物価は上昇

 増税、待ったなし。安倍首相が続投でも退陣でも、しがらみだらけの政治家たちは「ニッポン大増税」と冷酷無情のシナリオを突き進むしかないのだ。しかし、前述したように、年間消費額300万円の家庭であれば、消費税だけで6万円の負担増。これだけでもかなりの負担となるが、それだけで済む話ではないという。獨協大学教授で経済アナリストの森永卓郎氏は、こう断言する。「消費税が10%になれば、物価が1.4%上昇します。その分、実質賃金も下がり、生活はより苦しくなります」

 2%の増税に加え、1.4%の物価上昇……想像するだけで頭が痛くなる悪循環である。森永氏が続ける。「14年に消費税が8%になったときは、その影響で物価が2%上昇しました。また、金融緩和の物価上昇も加わり、3.5%もの物価上昇となりました。一方で、賃金は0.5%しか上がらなかったため、その差の3%が実質賃金の下落となりました。この影響は、いまだ回復されていません」

 ここ数年、国民の生活がキツい理由は、増税ゆえの“物価上昇”だったというのだ。それだけではない。「小売りよりも輸出産業を支援したい自民党が政権の中枢にいる限り、円安トレンドは続くでしょう。となれば、輸入するモノの値段も高くなる。ビール、かつお節、ツナ缶、電気・ガス料金、ヤマト運輸に佐川急便、そして『鳥貴族』のメニュー……と、実際、今年だけで見ても値上げラッシュがすさまじいです」(民放局報道ディレクター)

■食料品など生活必需品は8%に据え置く“軽減税率”

 こうした背景もあり、インフレが進行する中、消費増税が庶民の貧苦を地獄絵図と変えるのだ。しかし、救済を望みたい。「今回の消費増税では、食料品など生活必需品だけは、消費税率を8%に据え置く“軽減税率”を導入――菅義偉官房長官も“約束したから実行する”と言っています」(前同)

 この“軽減税率”はアメリカ、イギリス、フランス、韓国など世界各国で採用される庶民に優しい制度だ。「イギリスは食料品に関しては0%、韓国も生鮮食品は0%です。日本でも実現すれば良いのですが、現状では、“何が生活必需品か”のボーダーを決めなくてはいけないのが一番の課題。業界団体の調整も必要で、大がかりなロビー活動が展開されるでしょう。現に、食料品以外で8%に据え置かれそうなのは、“消費税を上げろ!”と、政府の意見を代弁する新聞業界だけですしね」(同)

 利権の影響もありそうな軽減税率。少しでも我々の生活負担が減ることを祈るばかりだ。

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